思い出したくない過去と幸せな現在の思考
シャワーを浴びながらハクノフェルは思い出したくない嫌な過去のことが脳裏に浮かんできてしまい……。
スカウトされる以前のことを思い出しながらハクノフェルは、シャワー室に来ていた。
そして現在シャワーを浴びている。
(そういえば、みんな何をしているんだろうな。まあ、コッチに来ていることは知っているから問題ない。
オレがやめたあとの後任はナテェルソンがやっている。アイツなら任せても心配ない。
そういえば屋敷の方は、どうなっている? 余裕ができたら、あとで様子をみに帰ってみるか。
クッ……クソッ! って……なんで今……あの時のことまで思い出すんだよ!?)
思い出したくないことまで脳裏に浮かんでしまったようだ。
そうハクノフェルは、この世界にくる前に婚約者がいた。だが婚約を破棄されたのである。
普通なら逆なのであろうが、ハクノフェルは婿という立場だったため何も言えなかったのだ。
そんなこともあり小心旅行的な意味合いで、コチラの世界に来たのである。
(なんで何もしていないオレが一方的に婚約をなかったことにされなきゃいけない? あとでラニアは新たに婚約したってマクルスから聞いた。
元々そのつもりだったんだよな? そうじゃなければ、こんな早く婚約なんかしないだろ!!)
心底から怒りが込み上げて来て思いっきり壁を殴った。その殴った手からは血が滲み出る。
(ここにスカウトされたあと一度もどった。今おもえば……戻らない方が良かったかもな。そうすれば……あんな光景をみずに済んだ。
それだけじゃない。ラニアは……新たな婚約者と語り合い笑っていた。その笑顔も声も全て……以前はオレに向けられていたんだ)
相当つらそうだ。
(フゥー……忘れようと思ったけど無理そうだな)
そう思いながらハクノフェルはシャワー室から脱衣所に向かった。
✿❀✿❀✿
着替えを終えたハクノフェルは宿舎に向かい施設の廊下を歩いている。
(そういえば……ここに来てから、この廊下を何回往復したんだ? まあ、そんなことを気にしたって仕方ないんだけどな)
そう思いながら無作為に遠くをみつめていた。
(明日は今日みかけた彼女の家へスカウトしにいく……楽しみだ)
明日、純喜と直に逢い話ができることを喜んでいるようだ。
只この気持ちは単に逢いたいというものじゃなく愛しいの方である。
だが今のハクノフェルは自分の本当の気持ちに気づけないでいた。
そう本当は純喜に一目惚れをしていたという事にだ。
(彼女の反応が楽しみだ。どんな話を……あーいや、そうじゃないだろ! 明日はスカウトに行くだけなんだからな!! うんうん、そういう事だ)
デートにでも誘うような気持になっている自分に気づき思考を切り替える。
(服装は……正装で行った方がいいよな)
本来なら正装など必要ない。だが純喜に自分を良くみせたいと思ってのことなのだ。
これだけ気持ちがハッキリ分かっていても本人は気づいていないのだからある意味すごい。
「そうだ! 何かプレゼントを用意するか」
そう思い、どんなプレゼントがいいのかと妄想を膨らませている。
「んー……この世界の女性は、どんな物を好むんだ? 班長……香織に明日、聞いてみるか」
ブツブツ独り言を呟きながら宿舎の前までくると建物の中に入っていった。
読んで頂きありがとうございます(=゜ω゜)ノ
では次話もよろしくお願いします(^O^)