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破壊神の逆異世界召喚  作者: 桶屋
第1章
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02話 下僕の過去

 何がおきたのだ。扉が開き3人の人間の姿を見た我は、これまでに経験したことのない感覚に襲われていた。


「これが、下僕から聞いたあれなのか」


 破壊神は自身の感情の答えが何なのか、混乱する頭の中で思考しながら一つの答えにたどり着いた。ならば成さねばならぬ事ははっきりしている。問題ない、我は破壊神。創造神と同等の力を持つ神であり、我が願えば出来ぬ事など何もないのだから。


「あなたが破壊神ですね。私達はあなたをた 『我がハーレムに加わるが良い!』 おしに…来た……は!?」


「は!?」


「は!?」


 3人の「は!?」がハモる。



 ここまで固い展開で進んできたのを見た皆さんは、突然の流れに困惑していることだろう。一体なんでこんな事になってしまったのか。破壊神様の唯一の従者であるこの下僕めが説明しようじゃないか。ただ、これを説明するには、私という人間についても説明しなければなるまい。


 


 佐藤 士朗、35歳 日本に居た時の私を一言で表すなら、キモオタデブ引き篭もりニート。小学生の頃から内気な性格のうえ、ぶくぶくと太っていた私が、クラスの他の子達から、からかわれたりするのは日常茶飯事であった。中学に上がってからは、からかいのレベルもどんどんとヒートアップし、所謂いじめと呼ばれる状況になるのにも、さして時間は掛からなかった。


 私はいじめから逃れる為、不登校となり35歳となった今も尚、自分の部屋に閉じこもっている。


 私の事を哀れだと思う人も居るかもしれないが、私自身は、この引き篭もり生活を気に入っていた。私をいじめるクラスメイトもおらず、好きな漫画やアニメ、ゲームや小説を誰にも邪魔されずに堪能出きる素晴らしい環境だった。これぞまさしく私の為だけに与えられた、絶対不変の桃源郷。そんな風に感じていた。

 

 まあ実際は、両親がいなければ一瞬で崩壊する、幻の桃源郷なのだが当時の私は、その事から目を背けひたすらに自分の好きな物に没頭していた。


そんな私の人生を激変させる出来事は突然に起こった。いつものように部屋でアニメ鑑賞をしていたらいきなり部屋の床に輝く魔方陣が現れた。

 オタクである私はこの状況に、ついに来たか。と冷静な思考を走らせる。異世界転生モノのテンプレの一つであり、以前から脳内シュミレーション(妄想)を完璧に行っていた私は、動揺することも無く自然とこの現象を受け入れていた。


 目の前が光で埋め尽くされ、思考が溶けて行く。自分の存在が消え去り新たな自分が作られていく。そんな不思議な感覚が暫く続いた後、急に視界がはっきりとした瞬間に意識が覚醒した。


 さて、どのパターンで来るか、、脳内シュミレーション(妄想)で想定して居たいくつかのパターンを思い浮かべながら、辺りを見回してみた。周りには人は見当たらない。

 どこかの国に召還され姫様が出てくるパターンでは無さそうだな。そう思いつつ今度は自分が居る場所がどんな所なのか辺りを見て行く。

 

 大きな広間の様な場所だが、お城の様な雰囲気は無く、どちらかと言うと何かの神殿の様な、神聖な雰囲気を感じる場所のようだ。

 パターンCか、、自分の中で当て嵌まりそうなパターンから一番可能性の高いものを選びそう呟く。


 私の呟きが聞こえでもしたのか、それに答えるように突然広間の中に強い光が現れ、その光が序所に一箇所に集まり人の形となって行く。


「初めまして。佐藤 士郎さん、ようこそ我が-エルディナ-へ」


 人の形に近い光から、透き通るような女性の声が発せられた。


「あなたは、この世界の女神様か何かですか。」


「そうです。私の名は女神イリス。私が管理するこのエルディナを破滅の危機から救って貰いたく、あなたを召還いたしました。」


 そこからは、エルディナの現状説明から、倒すべき敵の情報、発現したチート能力について、目的を達成後、元の世界に戻るかどうかなど大まかな説明と確認をされた。

 ここからエルディナでの壮大な冒険が始まるのだが、これを細かく話していくとそれだけでライトノベル1作品分になってしまうのでここは省略して話させて貰おうと思う。


 結論から言うとボスを倒したと思ったら、実は真のボスがいて、そいつが実は世界を管理する女神本人だったって言うありがちな展開だったんだけど、女神を倒した事により、事情を知らないエルディナの人々から、大罪人として扱われる様になってしまった。

 女神を倒すほどの力を持った人間に、直接攻撃をしてくるような事はなかったけど、何処にも居場所の無い状態になってしまい、結局、誰も住んでいない辺境の地で引き篭もってしまった。


 チート能力を持っていて、世界を救い、見た目だって召還された時に若返った上に、そこそこのイケメンになったって言うのに、最後は日本に居た時と変わらない引き篭もり生活とか笑えないよね。

 しかもこの世界には、ゲームもアニメも無いんだから更に笑えない。

 

 そんな笑えない生活をしばらく過ごしていたある日、突然足元に光り輝く魔方陣が現れた。いつかの時と同じように目の前が光につつまれていく。

 

 ああ、これでもう一度やり直せる。


 光が晴れると、これまた何時か見たような神殿の中に居た。

 

「初めまして。佐藤 士郎さん、ようこそ我が-ロウイン-へ」


 最初の台詞まで同じかよ。


 そこから、ロウインと呼ばれるこの世界の状況を説明された。どうやら破壊神とか言う神様をやっつけて欲しいらしい。

 神様ぐらいなら以前の世界でも倒しているし大したことでもないだろう。心配な事と言えば、今回も実は女神がラスボスでしたー。なんて落ちがあるかも知れないな、とは思ったが一度経験している事だし、今回はもっと上手く出来る様な気がしたので、深くは考えずに引き受ける事にした。


 因みに、今回の異世界召還でも一つチート能力が発現したが、過去に一度でも入手した事のあるアイテムを取り出すことが出来る、「サーチボックス」と言う能力で、便利ではあるけど、戦いにはあまり役に立ちそうに無い物だった。


 強くなる為の修行とか余計な冒険は、不必要だったのですぐに女神の力で、破壊神が居ると言う最果ての廃城まで送り届けてもらった。


 城には特に障害となる様なものも無く、すぐに破壊神の元まで辿り着けたわけだが、



「よくぞ来た」








「我こそが破壊神也」



 その声を聞き、姿を視界に入れた瞬間に全てを悟ってしまった。

無理無理無理、女神と同じ神様??何言っちゃってんの??目の前のと比べたら女神なんて、蟻んこ同然ですよ。ちょっとチート能力持ってるだけの人間に、こんなのを倒して来いとか言うあの女神の野郎は、アホの子なんじゃないですかねー?


「久々の来客だ。すぐには終わらせん。時間いっぱい楽しませて貰おう。」


 いやいやいや、なんかメチャメチャご機嫌な感じで、死ぬまでいたぶるみたいなこと言われてるんですけど!?

 それから始まった戦いは、いや、戦いと呼べるような状態じゃなかったかな。生き残りをかけた、一発当ったらゲームオーバーの超絶難度の弾幕シューティグゲームを、しばらく続けていると、破壊神が突然攻撃を止めて話しかけてきた。


「これだけの時間、我の側に居て我を見続けているのに、何故お主は未だに普通にしていられるのだ。」

 

 先ほどから紙一重で死んでいないだけの状態が普通と言えるかは疑問なのだが、とにかくこの絶望的な状況を少しでも打開出きる可能性があるのならばと、破壊神の問いかけに答える事にする。


「ハァハァ、ふ、普通にしていられる、とは、どういった意味、なのですか、」


 何とか呼吸を落ち着かせながら聞き返してみる。


「そのままの意味だ。これまで我に挑んできた英雄達は、わざわざ攻撃を当てずに長引かせようとしても、結局は時間が経てば我が破壊の特性に耐えられず、発狂したり、自害したり、心が死んで抜け殻となったり、まともな状態の者など誰一人としていなかったのだ。」


 怖っ!!何それ、戦いで死ななくても結局ここに居る時点で人生詰んでるじゃんそれ。

と、驚愕したものの、今の所直接的な攻撃による命の危機はあるが、その破壊神の特性とやらの影響は感じていないように思えた。

 考えられる理由としては…


「あくまで予想ではあるんですが、いいですか。」


「うむ。言ってみよ。」


「まず1つ目に考えられるのは、私のチート能力『絶対不変』の力のおかげじゃないかと思います。この力を使えば、私自身の今の状態を保持しつづけ外部からの干渉を受けない様にする事が出きるんです。」


「実際に私の力は女神を倒す事が出来たことから、神の力に干渉する事が出きるんじゃないかと思います。ただ、先ほどからのあなたとの戦いでは、あなた自身やあなたの攻撃には一切干渉する事が出来なくて、仕方無しに、自分自身や、自分の周りの空間、この建物に干渉したりしながら何とか回避していただけなので、あなたの放つ破壊の特性を防ぐ事が出来ているかと言われると、自信はあまりありません。」


「ふむ。1つ目と言ったな。他にも何かあるのか。」


「はい。もう一つ考えられるのは女神の加護のおかげかと思います。」


「加護だったら今まで来た英雄達も持っていたと思うが。」


「いえ、私の場合は、女神イリス、女神ミネルヴァ、二人分の加護を持っているのでこの相乗効果で、耐性が上がってる可能性はあるかと思います。」


 本来は、女神イリスと敵対した時点で加護は無くなるはずだったが、『絶対不変』の能力で無理やり自分に定着させて加護を消させずに残していたのだ。


「なるほど。管理神程度とは言え一応は創造神の特性を持っているわけだし、その女神の加護が2人分となれば、耐えるだけなら出来なくもないと言う事か。」


 破壊神は、納得したといった表情の後、何かを考えているかのように暫くは言葉発さずに黙っていた。


「あ、あの破壊しん、、さ、さま?」


 絶望的な戦いが一旦止まり、ここからまた戦いだそうなんて言い出されたら、たまったもんじゃないと思いつつ恐る恐る声を掛けてみる。


「うむ。決めたぞ。」


「お主は、我が下僕としよう。」


 はい!なります!ならせて下さいお願いします!!それで命が助かるなら安いもんですとも!!心の中ではこの意外な展開と助かった事に興奮しながらも


「謹んでお受けいたします。我が主、破壊神様」


 


 クールに決めてやったぜ。








 

 


 


 

 


 



 


 




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