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破壊神の逆異世界召喚  作者: 桶屋
序章
1/12

我こそが破壊神也

 光と闇

 

 善と悪

 

 誕生と消滅

 

 創造と破壊


 あらゆる物事は表と裏が合わさり形を成している。

 創造神と呼ばれる原初の神が世界を創造したのならば、世界を破壊する破壊神が産まれる事もまた世界の理と言えるであろう。 


創造神の力により生み出された数多の世界には、世界の毎の管理者として女神が誕生し、その世界に祝福を与えている。


 そんな世界の中の一つ -ロウイン- と呼ばれる世界。この地の最果てに破壊神はその身を潜めていた。


 最果ての廃城、王座に座る破壊神。その容姿は物語に出てくるような悪魔に似た見た目ではあるが重要なのは見た目その物では無く、その存在そのものが破壊を司るという事。

 何の力もない生き物が、破壊神を視界に捕らえたとすればその瞬間にその者の命は破壊されるであろう。

 故に、破壊神はこの世に現れたその瞬間から永遠とも呼べる程の長き年月を1人…この場合は1神と言うべきか…とにかく誰とも時を共にする事無く過ごして来た。

 ロウインと呼ばれる世界に来たのはただの気まぐれであり、破壊神にとっては場所など何処でも同じ事だった。結局は唯一の存在としてそこに居るだけである。


 何の感情も持たずただ存在するだけ、もはやシステムに組み込まれたプログラムの如く存在しているだけの時が、これからも永遠と続くだけと思っていた破壊神が、初めて興味を引く出来事が起こった。


 ロウインに来てからおよそ200年が過ぎた頃、ロウインを管理する女神ミネルヴァが戦いを挑んできたのだ。勿論、世界の管理の為に生み出された管理神如きでは、創造神と同格の破壊神を倒す事など出来るはずも無く、ただただ返り討ちに合うだけだったのだが。

 女神は自分のみでは歯が立たないと知るや、今度は自分の管理する世界に住む、様々な種族の長に女神の加護と呼ばれる力を与え、破壊神討伐を担う英雄として破壊神の下に送り込んできた。

 

 当然、女神本人でも勝てない者に、女神から力を分け与えられた程度の者が敵う訳も無く、全て返り討ちに合ったのは言うまでもない。

 

 これまで、世界に破壊をばら撒く、悪、敵、と言った認識を向けられた事すらなかった破壊神は、これらの認識を向けられた事により、初めて自身は世界の敵となりうる存在なのだと、自分自身を意味のある存在として感じる事が出来ていた。この感情に気づいた時は、これまで何の色も無い世界をぼんやりと見つめているだけだった様な視界が、一気にはっきりとして色着いて見える様に感じた。


 ミネルヴァとの戦いが始まって300年が過ぎた頃、それまでやって来ていた英雄の攻撃がぴたりと止んだ。破壊神にとっては、英雄達との戦いは自分を感じる事が出来る唯一の時間だったので彼らが攻めて来るのを心待ちにしていたのだが、そこから100年は何事も無く時間だけが過ぎていった。


 破壊神はこれまで何千、何万年の時が経とうとも何も感じる事はなかったにも関わらず、感情に気づき自我を持ってしまった今となっては、たったの100年が、これまでに過ごして来た時間を上回ると錯覚する程に長く感じていた。今か今かと敵が来るのを待ち焦がれる様は、さながら恋する乙女が想い人との待ち合わせで心をトキメかせているかの如くであった。


 

 廃城に何者かが足を踏み入れたのを感じる。


「やっと来たか…」


 誰に聞かせるでもなく吐き捨てるような呟き、言葉とは裏腹に、表情は見方によっては笑っている様にも見える。


「早く我が下までやってくるがよい」


 破壊神には元々手下は居ないし、破壊神が住む廃城には最果ての地に生息する強力な魔物ですら近づこうとはしない。勿論、罠の類も一切設置はされていないので、100年ぶりの来客はそう時間も掛からずに破壊神のいる王の間に辿り着くであろう。


 幾ばくかの時間の後、王の間の扉が開かれ破壊神の待ち人が現れた。


 その人物に向かい破壊神はゆっくりと言い放った


「よくぞ来た」




「我こそが破壊神也」

 






 

 


 





 


 

 

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