乙女ゲーの世界を描いている作者さんって、実際どれくらい乙女ゲーをしているんだろう?
ネタバレ・百合発言注意!
※「金色のコルダ」「遙かなる時空のなかで2」「アンジェリークデュエット」のネタバレ含みます。これからプレイするよ! というかたは気を付けてくださいませ。
あと百合発言は普通にあります。苦手なひとは逃げてくださいな。
乙女ゲーの世界に転生! 悪役令嬢orヒロインだった!
という話はなろうに沢山あります。結構好きです。なろうを知ったきっかけも、とある悪役令嬢系の作品でした。
ただ、「乙女ゲー世界」の作品を読んでいると、疑問に思うことがあります。
この作者さん、乙女ゲーやったことあるのかしら? と。
ちなみにわたしは「ネオロマンスゲーム」しかやったことありません。そのなかでも「アンジェリークデュエット&Special2&トロワ」「遙か無印&2&3&3運命の迷宮」「コルダ無印&2」だけです。ほかにも恋愛要素のある作品をやったことはありますが、乙女ゲーではありません。
しかし乙女ゲーの先駆けであるレーベルなので、乙女ゲーと云えばネオロマンスでしょう。
なので、ネオロマ基準でここからすべてを語ります。ネオロマンスなんて古いんだよ! というかたは、是非最新かつ面白い乙女ゲーを教えてくださいませ。
わたしがネオロマを知ったのは、友達にすすめられたからです。
ソフトもかしてもらい、プレイしました。乙女ゲーってこんなんなんだあ、と思い、全ルート解放しスチルもコンプし、おまけもたしかすべて埋めました。生憎ソフトが手許にないので、たしかめられませんが、メモリーカードにデータは残してあります。
ネオロマが面白いのは、恋愛一辺倒な訳ではなく、「ほかにやらなくてはいけないこと」がある点だと思います。
絵柄が可愛いだけで、やっていることは「三国志」とか「太閤立志伝」とあんまりかわりません。会社も一緒ですしね。恋愛をしないですすめるとほんとにそんな雰囲気です(だからなのか、アンジェリークには舞台を戦国時代に移し、織田アンジェリーク信長が活躍する漫画版が存在するとか。それなんてアンジェリークの野望)。
太閤立志伝が好きなら是非どうぞ。面白いですよ。安芸国虎になった気分でやりましょう。悪逆非道。
そこで、「乙女ゲー」世界を描く作者さんへのひとつ目の疑問です。全キャラ同時攻略がどれだけ大変か、実際にやったことあるんでしょうか?
個人的な経験譚ですが、「遙か2」は攻略対象が11人のところ、最大で9人同時攻略が精一杯でした。アクラムと千歳と紫姫&御苑くんはイベントで時間経過しないからいいとして、八葉全員とか日数がなんぼあっても足りんのですよ。いやわかってるよ、出来るひとはできるんだってな……(´・ω・`)
物忌みとか方忌のことまで考えて日程組まなくちゃいけないから、誕生日もよく考えて選ばないといけないし(ちなみに土属性がいいのだとか。攻略サイト情報)。日数制限を考えると太閤立志伝よりも断然難しいです。なので、「太閤立志伝なんてぬるいぜ」というそこの兄貴、いかがでしょう?
で、アクラムと千歳同時攻略も、そんなに簡単ではないのです。
どっちも情報画面でパラメータ確認ができないので、イベントが起こらないとうまくいってるのかが解らない。これ凄く不安です。
ついでにこのふたりは、主人公ちゃんに好感を抱くベクトルが違います。千歳となかよくなりたかったらダメ神子になるのがてっとりばやく、アクラムといちゃいちゃしたかったらなるはやでやることやって土地の力強化とかに励まないといけない。
たしか、ミニゲーム完全成功でアクラムの好感度が上がり千歳の好感度は下がり、ミニゲーム完全失敗でアクラムの好感度が下がり千歳の好感度が上がる、という仕様だった筈。鬼か。
まあ、やることやってとりあえず星の一族と八葉の評価をもらい、後はイベント選択肢で千歳のことを心配&気遣う選択肢を選び続けるという手もありますが、イベント起こらないと不安になる(__;)
要するに、乙女ゲーは計画をたてて最初期からこつこつやっていかないと、狙っているエンディングへはすすめないのです。
「コルダ」でも、アイテム引き継ぎ四人同時攻略・四人全員珠玉・特別曲エンドで、中盤までかなり順調にすすみ、「これだったら土浦くんも攻略しといたらよかったー」などと余裕をぶっこいていたら、最終セレクションで死にそうになりました。
いやいや時間ないよ、ていうかお前らイベント起こるマップに居ろよ、条件・平日であることだとお!? などと喚きながらのプレイに。どの曲弾くかもぶれにぶれ、スーパー解釈化したけど時間足りずで点数も1000点ちょっと。月森の調子がエグいくらいにあがっていたので優勝落とし、主人公が最終セレクションで優勝していた場合のせりふをききのがす結果に(総合優勝でしたけど)。
大体、攻略対象みんながみんな、好みが同じ訳ではないのです。「コルダ」だったら五人全員珠玉・特別曲エンドの同時攻略をしようと思ったら、「技術・愁情あげてBP稼ぐ、彩華はあげない」というプレイスタイルにするしかありません。愁情上げて彩華は地を這うようにしとかないと火原の珠玉・特別曲エンド見られないから。BPは稼がなくてもいいのかもしれませんが、アイテムがないと順位の維持がきつい。ライバル度も気にしないといけませんしね。
ついでに、恋愛にかまけて練習をさぼると、一回もセレクションに出ることなくゲームオーバーなんてことも……。
ただ「コルダ」は、「主人公が攻略対象と同傾向の演奏」で起こるイベントと、「主人公が攻略対象とまったく違う演奏」で起こるイベントがあるので、同時攻略でも破綻は少ない気がします。
「アンジェリークデュエット」で同時攻略しようとすると(アンジェリークパートしかしてません<(_ _)>)、まったく好みの違う守護聖さまがたそれぞれに、気にいられるような言動をする必要があります。
「ひとのことが気になるか?」と訊かれて「はい」と答えたその日のうちに、別の守護聖さまのところへ行って、「ひとのことが気になる?」「いいえ」なんて返事をする訳です。それをやらないとみんなに好かれるのは不可能ですし、同時攻略はできません。
以上を踏まえて、もしアンジェリーク系の設定(自分と相性がよく、気が合うタイプの主人公を好きになる攻略対象)で、詳細な計画をたてず、主人公が好き勝手やっていたらみんなに好かれて……という展開だとしたら、主人公多重人格か? と思わざるを得ません。だってみんな趣味も好みも違うんだもの。
それに、「どうしてもそりの合わないキャラ」は存在します。「遙か」や「アンジェリーク」だと誕生日などを設定して、相性ができてしまうので、当然「どれだけお話ししても貢いでもつれないキャラ」ができてしまうのです。アンジェリークだとライバルの女の子(悪役令嬢ではない)に、そういう相性のよくないキャラをとられてしまいがちです。
さてふたつ目の疑問です。悪役令嬢って何者なんだろう?
「アンジェリーク」にはライバルになるキャラが出てきますが、口調がきついだけでいやな子ではありません。いっていることも至極まっとうです(「アンジェリーク」は、宇宙を統べる女王を試験で選ぶ、主人公とライバルはその受験生という設定なので、「あんた宇宙の女王になるのがどれだけ大変なことなのかわかってるの!」みたいに怒られても当然っちゃあ当然なのです)。で、どのエンドでも死にません。
「遙か」だと主人公「白龍の神子」と対になる存在「黒龍の神子」がライバル的な立ち位置でしょうか。えー? 千歳も朔も可愛いよー? なかよくなれるしいやな子じゃないよー? もしかしたらシリンが悪役令嬢的な扱いかもしれないけど死なないし、わたしはシリン×2神子推しなのだけれど。
「コルダ」に出てくる主人公以外の女の子といえば、冬海さんと天羽さんでしょうか。どっちもいやな子じゃないし、主人公の行動を妨害しませんし、死にませんね。
そうです。なんだか「主人公以外の女性キャラは主人公に意地悪すると死ぬ」のが乙女ゲーだと思われていそうですが、基本的に人死には出ません。天レクではごにょごにょ。
とりあえず、主人公の当て馬的なキャラでも死にませんし、そもそもそういう子が主人公をいじめたりはしません。
悪役令嬢ってほんとに何者なんだろう。
それから、主人公の境遇。
「ただの高校生」ばっかですね、ネオロマ。「ただの高校生がなにかのきっかけで今までとはまったく違う世界に放りこまれ、サポートしてもらいつつ頑張る」話なのです、ネオロマは。
「乙女ゲー世界」の小説にある、「男爵令嬢、実は前王の隠し子」、「世界に数人しか居ない光の魔力を持った、弱小貴族の娘。実は聖女の生まれ変わり」、「継承権のない皇女」のような設定は、少なくともわたしは知りません。
当然といえば当然です。そういうゲームを買ってプレイするのは、基本的には思春期の女の子の筈。なら、それくらいの女の子、しかも普通、もしくは元気だけど成績はいまいち、でもおちこぼれてはいない、くらいの設定にすれば、「自分に似ている」と思うひとは多いでしょうから。
主人公はプレイヤーが自身を投影するものなので、特殊な設定は避けられるのでしょう。
「ただの高校生」で、プレイヤーが感情移入する為に、家庭環境や家族構成、誕生日や血液型は、公式には決まっていません。イベントでそういう話になっても、「いつ生まれ? ああ、いい季節だね」「何型なの? へえ、意外だな」のような当たり障りのないテキストが流れるだけです。
なので、「主人公は王国暦248年6の月生まれ、母は主人公を産んで死に、その為生家であるミステルレーベン公爵家を追い出され、親戚であるデュエル男爵家の娘として育った。活発で男顔負けに馬を乗りこなし、読書家で弁論も得意。曲がったことが大嫌いな姉御肌だが、年頃の少女らしい繊細で傷付きやすい面もある。学園都市アウフアハトゥングにある王立魔法アカデミーに16歳で入学し、入学試験でその身に宿した光の魔力が云々」みたいな詳細設定はないです。ネオロマでは。
ここまで書いていて思ったのですが、「乙女ゲー」じゃなくて「少女まんが」じゃないでしょうか、その世界。
少女まんがだと主人公を執拗にいじめる上流階級のお嬢さまって出てきそうですし、主人公の設定もがっちり決まっているでしょう。ネオロマもまんが版だと、一貫した性格でありながら攻略対象の大多数に好かれますしね。
となると、「乙女ゲーを原作としたまんがの世界」なのか? しかし乙女ゲーはまんが版でも悪役令嬢は出てこない。のです。
なんだか不思議な「なろう乙女ゲー」の世界、果たしてそういった内容の乙女ゲーが売れるのか? ゲーム会社が売るのか? 企画が通るのか? と疑問はつきませんが(主人公が好きなひとと結ばれたら人死にが出るなんてゲームはわたしはしたくありません)、この辺りでお仕舞にいたします。
結論・ライバルが死ぬような乙女ゲームは多分売れない。
これ書いた後に「悪役令嬢的なものが出ている」ときいてマイネリーベをプレイしたものの、全然悪役令嬢じゃなくてがっかりしてます……可愛いやないか三人とも……どうして友情エンドがないんじゃ……。
現在は「マイネリーベ」「マイネリーベⅡ」「アルバレアの乙女」もプレイ済みなので、乙女ゲーマーとしてはレベルアップしております。