森の偽物おねぇと偽物聖女が売る牛乳は大魔王の暇つぶし
シリーズ化に伴い、なろうラジオは選ばれなかった物ですが、空白改行は文字数制限に含まれなかったようで今更ですが読み易くしようと空白改行を入れる改稿を施してみました。
王国から遠く離れた森の奥深くにあるドラゴン村は大魔王の城へと繋がる最後の村。
森の中は魔物が多く、休めるのは村のボロアパートの様なホテルだけだ。
道中、頭上の入道雲を見て慌てて村まで走り疲れ腹を満たそうと、サラリーマンの私達には少々値が張ったが農民だらけのこの村のおにぎりはポーションと思える程に絶品だった。
ここまで来たのは勇者とは全く関係無い。
昔ブラウン管テレビで見た忍者や名探偵の様な必殺技も調査能力も無い私達を、辺境の地ドラゴン村へ送り出す様なブラック企業ならではの仕事とは、今の王国が建つ前の幕末期から有名な伝説の牛乳の買付けだった。
そして今、私達は困惑していた。
伝説の牛乳を売る店が分社していたのだ。
片やおねぇと思しき女が
片や聖女と思しき女が
互いの店の看板に女を売りにして売り込みをかけている。
しかし、どちらも怪しく妖しい偽物の匂いがしていた。
見た目おねぇの話からは文学少女の様な知識が露見する。
聖女の格好をした女からは売女の様な香水が鼻を突く。
何よりもこの牛乳、牛が居ないのに何処から搾ったのか!
漢だらけの一行は広がる妄想と理性をコントロールし、店の裏手を覗くが魔物の棲む森が広がるだけだった。
私達はどちらを買付けるか、いや両方買付け新商品として売るか。
しかし昔からある伝説の牛乳に新商品、どちらが昔か……駄目だ。
そう気を落としていた私達に驚愕の事実がやって来た。
聖女の店の裏手に森の奥から牛魔王が乳樽を持ってやって来たのだ!
確信した! そう思った時だった。
おねぇの店に奥さんらしき雌の牛魔が乳樽を持って来たのだ!
どちらを買付けるべきか処では無い事実にも冷静に対応するのがサラリーマンだ。
私達はおねぇの店の牛乳を買う事にした。
何故か!
奥さんと思しき雌の牛魔は隣の店から出て来た牛魔王に喧嘩ごしの態度だった。
なのに牛魔王は乳樽を持っていた。
考えられるのは浮気!
ならば中身の牛乳は何処の馬の骨とも知れぬ若い雌牛魔の乳に違いないと考えた。
血統書を考えれば当然の選択だ。
これがプロの仕事である。
そして……
王国は勇者は人類は、既に古より牛魔王の乳で魔人化しており、大魔王の暇つぶしに掌の上で弄ばれていたと知るが……
……弊社は社外秘とした。
王の魔牛乳(無調整)459円
咄嗟に作った【伝説となった転生が語られぬ理由】では物足らず書きミスもありアクセスも伸びずだったので、どうせ書くのであれば小話的な伝説の短編を作ろうではないかと、テーマワードを全部(間違って消していた偽物侵入しておきました12/04-05時に)入れて作ってみました。
前回、短編を初めて書いたのですがネタを凝縮して練り込むこの感覚は、癖になりそうで危険ですね。
小説家になろうラジオからの評価の前に、短編に関して皆さんからの評価を知りたいので、よろしくお願いします。
12/09-06時に改稿、最後の牛乳の名前を変えておきました。WEB小説の性質上仕方ないのですが、後ろの投稿が見えてしまい何となく気不味いので……オチの強化と思って下さい(笑)