ザ・デイ・アフター+あとがき
■ザ・デイ・アフター
日本帝国海軍、「八八艦隊」の圧勝で、太平洋戦争は幕を閉じました。
しかし、これで「めでたしめでたし」ではありません。
後始末もしっかりとしておかなくてはいけません。
まずは、おさらいしてみましょう。
1月3日の停戦時の状況は、日本がアメリカ領のグァム島、ウェーク島、ハワイ諸島一帯、アリューシャン列島(アッツ、キスカ島)、そしてフィリピン諸島を占領しています。
またアメリカ海軍は、第一線海軍力の6割が消滅、海軍全体の5割を消耗して事実上の壊滅状態です。
対する日本海軍は、第一線海軍力の15%消耗です。
この時点での、日米の実質的な正面戦力比較は2対1以上で、日本が圧倒的に優勢です。
損害をアメリカが埋めるには、総力戦体制を作り上げてなお2〜3年は必要です。
またアメリカは、海軍の壊滅、フィリピン、ハワイの陥落などで3万〜5万人の戦死者を出しています。
捕虜、負傷者を加えれば十万人に迫るでしょう。
大きな犠牲の出る戦争が南北戦争以来となるアメリカ市民にとって耐え難い損害です。
(※この戦死者数は、史実太平洋戦争におけるアメリカ軍の損害に匹敵します。
しかもこの世界のアメリカは、第一次世界大戦に積極参戦していません。)
そして、双方の戦時生産が効果を現すまでは、手間と時間のかかる大規模艦艇を除いて考えても最低あと丸1年が必要です。
さらに、アメリカが本格的反攻ができるのは、「戦艦」という建造、整備が面倒な兵器を主力としている以上、順調な戦時体制を維持出来たとしても、あと2年半〜3年の歳月が必要なのです。
そして、停戦と共に必要なくなった戦時生産の大半が、日米双方とも一時停止します。
講和会議の進展如何では、戦時以外に不必要な軍艦などは、小うるさい財務官僚が早々に国庫の財布の紐を閉めてくるので、早々に解体が始まる事でしょう。
さて、こういった状況で講和会議が開催されるわけですが、はたしてこの講和会議はうまくまとまるでしょうか? それとも、講和会議は決裂し、戦争が継続して未曾有の長期戦になるのでしょうか?
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と本来なら、次なるステージ、もしくは講和会議についてを紹介してエンディングもしくは締めへと運んでいきたいのですが、この誌面を作成している現在(2002年12月現在)、続きは「第二章・皇国の行く末」と題して、筆者の運営するサイトで公開中です。
このため、先を紹介するのはがむずかしく、今回はこれにて終了とさせていただきたいと思います。
講和を書かないと戦争としては「画竜点睛を欠く」状態で、筆者としても心苦しいのですがどうかご理解ください。
また、「FANKY企画&太陽帝国(http://www.cwo.zaq.ne.jp/bface700/top.html)」にて現在先のその後を展開しています。
もし興味を持たれたのでしたらお立ち寄りください。
●ザ・ディ・アフター2
この世界での日米激突後の歴史については、「大規模な軍事衝突で、ガス抜きがいち早く終わった日本とアメリカ」という最も大きな前提条件を踏まえた戦後史をつづっていきたいと思います。
ただし、近代日本が史実よりも賢明な歴史を歩み、アメリカの政治的グローバル化が遅れた上でこそ成立する太平洋戦争があればこその「その後」となります。
むろん世界ではナチズム、共産主義などイデオロギーが跋扈しています。
戦乱の機運は太平洋戦争から十年以内に大きく膨れあがるでしょう。
しかし、ガス抜きが終わった日米は、国家的・民族的に気抜け状態で外に向かって強く出る気力を一時的であれなくしています。
アメリカがうずくまった以上、総統閣下にとってまたとないチャンス到来でしょう。
もしかしたら、総統閣下も書記長閣下も史実以上にいらぬ事を考えるかもしれません。
そんな事を踏まえつつ、時系列年表という形でその後21世紀初頭までを見ていきたいと思います。
なお今回は、Webサイト上で展開した、「八八艦隊一九三四 皇国の行く末(FRS)」「Good End 1 New Horizon」ルートと似た経緯を辿ることになります。(第三部)
多数分岐型でお送りした同コンテンツの中で、筆者が一番可能性が高かったのではないかと思うのが「Good End 1 New Horizon」だからです。
また、筆者自身の稚気として、宇宙開発についても少しばかりファンタジーを記したいと思います。
それでは続いて第二部をお楽しみください。
第二部(http://www.cwo.zaq.ne.jp/bface700/88fleetchapter2/chapter2_top.html)
第三部(http://www.cwo.zaq.ne.jp/bface700/frs_plus/frs_plus_top.html)
■あとがき
まずは手に取っていただき、ありがとうございます。
さて、如何だったでしょうか? こういった類の同人誌をあまり見なくなって久しいように思い、私自身が少し寂しいなあと思った末に誕生したようなものが今回の作品です。
なお、一応下調べなどは可能な限り行いましたが、統計数字以外は資料的価値はあまりありません(加えて、かなり丼勘定です)。
取り上げた当人にとっても、多くは二次資料、三次資料です。
しかも都合の良い数字や説を強引に使っている点も多々あります。
その点気をつけてください。
そして小説でも概論でないようなキメラのような文章でつづってきましたので、読みにくかったかとも思います。
ですが、少しでもこれを手にとった方に何かのきっかけ、もしくはチョットした暇つぶしの一環となれば幸いだと思います。
なお、私どものサイト(ホームページ)では、架空戦記に関する様々な試みをしていますので、よろしければお立ち寄りください。
それでは次回の作品でお会いしましょう。
2008年某日
(※同人誌上でのあとがきになります。)