表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

幸せのセンサーと不幸のセンサー

作者: 福耳の犬

『今日は幸せセンサーを3つ下げて、不幸センサーを5つ上げておきますね!』


躁鬱ぎみの私は、毎日精神科医に心の調整をお願いしている。


幸せ過ぎてもいけない。


不幸過ぎてもいけない。


心も中庸が大切だ。


幸せ過ぎると些細な事で不幸を感じ、不幸過ぎると幸せの気持ちに鈍感になる。


私の両脇の下にはツマミがあり、右に回すとセンサーが増幅し左に回すと減退する。


先生はそんな私の、、汗臭く、じと〜と湿っているツマミを回してくれる。


回して、回して、回して、回して、


戻して、戻して、戻して、戻して、


それで私の心の平穏は保たれている。


ある日診察後に忘れ物に気がついた。


慌てて戻り、診察室のドアを開けた。


急いでいたので、ノックもしないでドアを開けてしまって、、、


先生は汗臭く、じと〜と湿った私のツマミを回した指を咥えていた。


軽く笑みの浮かんだ、、恍惚の顔。


私はぽっと赤くなり、ドアを閉めた。


その時から私の幸せセンサーは敏感になった。


1円を拾っては喜び、4時44分の時計を見ては感激した。


幸福感がどんどん加速して私の心を満たしていく。


台風が来ては喜び、事故を見ては喜んだ。


先生は汗で湿ったツマミを左に左に回してくれているが、幸せセンサーが暴走して追いつかない。


回しても回しても回しても回しても


回しても回しても回しても回しても


そしてある日ツマミはポキッと取れてしまった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ