３.１

"卒業生退場"

　司会からのこの一言で場内が拍手に包まれる。

　今日"３.１"僕たちは、今日、この学校から巣立って行く。今日は、"卒業式"である。高校を出て、人生の次のステージへと旅立つ、特別な日である。そして、僕には、もう１つの意味でも今日は特別な日である。僕には胸に秘めた人がいた。クラスのヒロイン岡崎優香さんだ。彼女は、顔も可愛いく、スタイルも良い。そして、性格は、他人想いで学校中の男子からとても人気を集めており、多くの男子から告白されている。でも、いつも、好きな人がいると断るのだ。

　そんな岡崎さんに告白するために残された時間は長くとも残り1, 2時間しかない。それでも胸に秘めたこの想いを告白したい。３年間という長い時間、片想いし続けた。１年の時から"告白しよう"とは思っていたものの、あっという間に時が経ち、もう、今日しかない。ラストチャンスなのだ。

　体育館を出て、教室に戻る。

歓喜あまって涙する者、友達とたわいもない話をする者。皆、想い想いに高校生最後の時を迎えていた。そこへ保護者が集まり、泣いても笑っても最後のＨＲが始まった。

１人一言ずつ、全員に対してメッセージを送るでも、僕は告白の事で頭がいっぱ いである。

多くの同級生が涙を流して最後のＨＲは終わった。

みんなが想い想いに記念撮影をしていく。

でも、僕は、岡崎さんの近場で同級生と記念撮影をしつつ、告白のタイミングをうかがっていた。

そして、ついにチャンスが来た。

いつも一緒にいる岡崎さんの親友が、部活に顔を出しに行ったのだ。

「ねぇ、岡崎さん。ちょっといい？」

「いいけど…？」

「じゃぁ、ちょっと付いて来て」

そう、岡崎さんをＨＲ教室のある本館から、今日は卒業式で、人の少ないはずである、特別教室が並ぶ別館へと呼ぶ。

岡崎さんの顔を見ると余計に緊張しそうなので、前を歩いて連れて行く。

歩いていると、

「ねぇ、ヒロトくんどこ行くの？」

っと声をかけられた。

もう、人気のない別館で、その中でも特に人気のないところを目指していたが、もう十分人気が無いので、振り返り、

「岡崎さん、僕、岡崎さんの事がず っと好きでした。僕と、 お付き合いしてください」

恐らく、失敗だろう。僕は、成績も並みで、特に秀でた才能もなかった。顔も、イケメンとかでもなく、彼女が出来たことないのだ。

そんな僕が、高嶺の花である、そんな事は分かっていた。でも、後悔したくないと、思い切って告白したのだ。

僕からの告白を聞き、岡崎さんは涙を流しながら、

「はい。こちらこそお願いします」

告白した僕ですら、びっくりした。

岡崎さんは続けて

「ずっと前から好きだったの」

「えっ、僕も…」

「…」

「あっ、ん？」

僕は、自分の部屋のベッドの上にいた。パッと時計を見てみる。3.１AM7時だ

「夢かぁ」

今日を特別な日にするため、僕は身支度をして家を出て行った…。