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巨人の黄昏  作者: RAMネコ
7/10

6機目『ボンバールシオ』

 多腕巨人──ボンバールシオ。

 人間の体は二手二足。

 ボンバールシオも二足だが、腕は四手だ。

 マリオン人のサンブルク分帝国が作った支援用ロボットだ。発想は、カタパルトと全く同じであり、それをロボットに組み込んだだけではある。四本の腕はそれぞれ、カタパルトのアームなのだ。

 

──変わってるなぁ。


 ハーリンテン少年はのんびりと、ロボット万博に用意された長椅子にこしかけながら、ボンバールシオを見ていた。

 そんな時、少年の隣に、


「ったく、あのクソ爺──爺ちゃんの野郎どこ行きやがったですか」


 美人なお姉さんがドカリと腰掛けた。

 浅黒い肌に翡翠色の目。

 筋肉質な体格で、ヘソや肩がのぞく水着のような服だ。

 少年は裸族みたいな女性にちょっと照れ、ボンバールシオに意識を無理やりよせた。

 しかしそれが女に、「熱心なロボット好き少年」の印象を与えたようだ。


「少年」

「は、はい」

「今時珍しいな、ロボットが好きか」

「えぇ、まあ……いえ、はいそうです」

「そうか」


 ハーリンテンは、ちらりと隣の女を見た。

 別の意味での緊張がはしる。

 女の左頬が酷く裂かれており、口の中に隠れているはずの歯が見えていたからだ。


「ボンバールシオは──」


 少年は、女の低い声がよく聞こえていた。


「──四手だ。少年、人間が優れた能力の一つとしてもつものに、投擲能力があることを知っているか?」

「いえ、知りませんでした」

「長い手となんでも掴める指と掌、肩の広い可動範囲が、投石器のようなスイングを生むんだ」


 と、女はモノを投げる仕草をしながら、


「四手は人間の投げる力を倍かできないかの考え、単純に腕を二倍にして四本にしただけなんだ。腕の重さも二倍になるから、ボンバールシオのは小さくなった。でもこれで、『物を投げる』」のには不便なんだよ。右なら右の腕同士が干渉してしまうんだ。あっ、でも投石紐なんか片手で扱えるのはそこそこ……だったな」


 微妙な表現。

 腕を二倍したからと、二倍の能力を得られるわけではないようだ。


「あっ、コタツさん」

「やあ、少年──」


 サカミ・コタツ老人の体が次の瞬間には固まった。

 少年は首をかしげる。

 なにげに、コタツの話を楽しみにしていたのだ。


「見つけましたよ、ダ・ン・ナ・サ・マ!!」

「メ、メリアン!?」

「逃げるな! 次の王が待ってるですよ!」

「誰が人喰い趣味の王のところになぞ行くか!」

「少年、ヤツを捕まえろ!」

「は、はい!」

「少年でかしたぞ!」

「少年恨むぞ!」


 個人の腕を四本にしても、増やすことの意味はあまりないだろう。

 だが腕の本数てきには四本で同じ、二人というのはもう少し効率が良いらしい。

 コタツは、少年と女……メリアンとやらの四本の腕に捕まり連行されていった。

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