6機目『ボンバールシオ』
多腕巨人──ボンバールシオ。
人間の体は二手二足。
ボンバールシオも二足だが、腕は四手だ。
マリオン人のサンブルク分帝国が作った支援用ロボットだ。発想は、カタパルトと全く同じであり、それをロボットに組み込んだだけではある。四本の腕はそれぞれ、カタパルトのアームなのだ。
──変わってるなぁ。
ハーリンテン少年はのんびりと、ロボット万博に用意された長椅子にこしかけながら、ボンバールシオを見ていた。
そんな時、少年の隣に、
「ったく、あのクソ爺──爺ちゃんの野郎どこ行きやがったですか」
美人なお姉さんがドカリと腰掛けた。
浅黒い肌に翡翠色の目。
筋肉質な体格で、ヘソや肩がのぞく水着のような服だ。
少年は裸族みたいな女性にちょっと照れ、ボンバールシオに意識を無理やりよせた。
しかしそれが女に、「熱心なロボット好き少年」の印象を与えたようだ。
「少年」
「は、はい」
「今時珍しいな、ロボットが好きか」
「えぇ、まあ……いえ、はいそうです」
「そうか」
ハーリンテンは、ちらりと隣の女を見た。
別の意味での緊張がはしる。
女の左頬が酷く裂かれており、口の中に隠れているはずの歯が見えていたからだ。
「ボンバールシオは──」
少年は、女の低い声がよく聞こえていた。
「──四手だ。少年、人間が優れた能力の一つとしてもつものに、投擲能力があることを知っているか?」
「いえ、知りませんでした」
「長い手となんでも掴める指と掌、肩の広い可動範囲が、投石器のようなスイングを生むんだ」
と、女はモノを投げる仕草をしながら、
「四手は人間の投げる力を倍かできないかの考え、単純に腕を二倍にして四本にしただけなんだ。腕の重さも二倍になるから、ボンバールシオのは小さくなった。でもこれで、『物を投げる』」のには不便なんだよ。右なら右の腕同士が干渉してしまうんだ。あっ、でも投石紐なんか片手で扱えるのはそこそこ……だったな」
微妙な表現。
腕を二倍したからと、二倍の能力を得られるわけではないようだ。
「あっ、コタツさん」
「やあ、少年──」
サカミ・コタツ老人の体が次の瞬間には固まった。
少年は首をかしげる。
なにげに、コタツの話を楽しみにしていたのだ。
「見つけましたよ、ダ・ン・ナ・サ・マ!!」
「メ、メリアン!?」
「逃げるな! 次の王が待ってるですよ!」
「誰が人喰い趣味の王のところになぞ行くか!」
「少年、ヤツを捕まえろ!」
「は、はい!」
「少年でかしたぞ!」
「少年恨むぞ!」
個人の腕を四本にしても、増やすことの意味はあまりないだろう。
だが腕の本数てきには四本で同じ、二人というのはもう少し効率が良いらしい。
コタツは、少年と女……メリアンとやらの四本の腕に捕まり連行されていった。




