4機目『ナナフサ』
クマだ。
クマがいた。
モコモコとした金属の肌をもって、直立二足歩行をするクマ。
手足と首の張りで、星型になっているような形に見えた。
ヒトデクマにそっくり、な気がした。
そのヒトデクマの姿に似るロボットは、豆菓子を売り歩いていた。
ハーリンテン少年は、豆菓子を一つ買った。
「まいどあり」
「どうも」
ナナフサ、という機巧装甲服だ。
ロボットの動力であるスライム──粘体筋肉──を人間サイズのものに利用している。
筋肉的補助があるのだ。
ナナフサを着れば、どんな子供でも大人を負かすだけの力をもてた。
制御は極めて単純な、肉体追従式。
右手を上げれば、そのようにスライムは動いてくれる。
分類上は一応、ロボットの一部だ。
装甲を排した民間用ナナフサは、ハーリンテンのいた村でもよく見かけた馴染みのあるロボット。
畑を耕したり、木を切ったり、一家に一台のありふれたものだ。
働きものだ。
ロボット万博でも、色んなお仕事をやっているナナフサは沢山いた。
屋台を引くナナフサ。
迷子を探すナナフサ。
中身のないナナフサ。
同僚を叱るナナフサ。
疲れ果て倒れたナナフサ。
風船をくくりつけられたナナフサ。
子供におちょくられるナナフサ。
殴り合うナナフサ。
踊る集団のナナフサ。
ハーリンテンは、そんなナナフサたちを、豆菓子を食べながら見ていた。
今日は平和なのだろう。




