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巨人の黄昏  作者: RAMネコ
3/10

2機目『カンナミ』

 やっぱり二足歩行の直立型だ。

 ハーリンテン少年はそう、一人で勝手に納得していた。それはあまりにも大きく、少年の小さな身体を見下ろしていた。

 現代に蘇った『巨人』。

 どしりと垂直に伸びる足には、三本の発達したカギ爪が大地をがっちり掴んでいる。

 胴体は極端に短い。足の付け根から、手の付け根まで、ほとんど距離が離れていなかった。

 操演槽は、カンナミの頭とでもいうべきてっぺんだ。

 カンナミは服を着ていた。トカゲやサカナの鱗のように、金属の板が縫い付けられている装甲服だ。その服によって、カンナミを支えるスライム筋肉が隠されている。スライム筋肉は物理的に高い耐久性があっても、火や電気には弱いのだ。守ってあげる必要がある。

 手には小手をはめ、足にもすね当てがある。


「うわっ! やっぱり大きいなぁ」


 カンナミのふるう武器も展示されていた。

 どれもニンゲンには規格外の──あたりまえの話ではあるが──大きなものばかりだ。

 剣や槍に盾。

 弓に投石紐。

 ニンゲンが使うひととおりのものがありそうだ。

 そんな中で、ハーリンテンは変わった武器を見つけた。

 形は、草刈に使う大鎌だ。

 大鎌は、腰を使って棒先の鎌の刃を左右に振りながら草を刈り取る。

 ハーリンテンの村でもよく見かけた道具だ。

 しかしカンナミが草刈などするのだろうか?


「少年。それは対人用大鎌だ」


 ひょっこりとハーリンテンの隣にあらわれたのは、サカミ・コタツ老人だ。


「対人用大鎌て何ですか?」

「字のとおりだよ。この大鎌をカンナミが振りかぶって、草のかわりにニンゲンを刈り取るんだ。身長差がありすぎて、剣や槍では、あまり対歩兵戦にはむいていなかったんだ」


 ハーリンテンは想像した。

 カンナミがこの、対人用大鎌をふるう姿を。

 盾や剣をかまえた兵士。

 薙がれる対人用大鎌。

 巨大なぶんだけ重いそれは、ニンゲンなんて吹き飛ばしてしまうだろう。


「質量があるから、鎧ごと胴体を斬り飛ばしたなんて報告もある」

「……恐ろしい装備ですね」

「ソルブルク国の、この手の兵器が『殲滅機』と呼ばれる由来になったくらいだからな」


 殲滅機。

 なるほど。

 カンナミは庭の草よりも多くの、兵士を狩っているようだ。


「ただ怖い話ばかりではない。カンナミの二足二手の形は、汎用性──何でもできるようしするためだ」

「汎用性ですか?」

「うむ。少年はその手で色々なものを持てるだろう?」

「うん」

「それと同じことだ。カンナミは戦闘以外、むしろそれらにこそ注力したからこの形なのだ。重たいものを運んだり持ち上げたり、道の整備にも使われる。だからこそ、カンナミ最優の装備はクワとツルハシである、といわれることもあるくらいだ」


「これはソルブルク国系ロボットの根幹なのだ」とコタツは話した。

 戦闘特化であるならば、何も人型とする必要はないのだ。

 敵を打ち倒して国土を守ることは、確かに大切なことだ。だがそれと同じくらい、国力の発展は大切なのだ。土地を耕し、道を作り、橋を架ける。

 ハーリンテンはその話を聞いて、もう一度、カンナミを見た。

 怖い、しかし縁の下で支えてくれる存在。

 どこか、頑固なオヤジ、といったものをカンナミに感じる少年であった。

 

 

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