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アヴィリティ・ドライブ  作者: 佳川 瑠伽
2/2

1st. 能力者なるもの

どうも。

誤字・脱字ありましたら、ご指摘よろしくお願いいたします。


「はぁ……はぁ……」

「に……逃げ切った……か?」

 膝に手をつき、呼吸が荒くなっている二人。

 義政が辺りを見渡す。

「まぁ……そうだね。100mぐらい離れたとこにいるけど、今は気づいてない。」

「マジかよ!?」

 千秋が少し焦った声を上げ、とっさに義政の首をつかむ。

「え、ちょ」

「オラァ!!」

 茂みの中に義政を投げこむ。

「痛ッ!!」

 それに続いて千秋も茂みに飛び込む。

「よし。」

「よし。じゃねぇよ!何すんだよ!」

「しっ。静かにしろ。奴らに気付かれちまう。」

 いや、さっきの茂みに投げ込む一連の流れのほうが十分うるさいと思うんだが……という突っ込みを入れようとしたが、そういう場合ではないことに気付き、義政は突っ込むことをやめた。

 向こうを見ると、黒服の男たちが必死に探している様子がうかがえた。

「くそ!!あのガキども、逃げ足だけははえーな!!」

「まだ遠くに入っていないはずだ!!念入りに探すんだ!!」

 といったご様子。

「っつーかこれからどうする?もう帰らねぇと今日の分の課題終わんねえよ。」

「この状況で課題のこと考えてるとか、お前やべぇな。……いや、お前難関大学志望だもんな。そらそうか。」

 少し呆れ顔で話す千秋。

「いや、だからどうすんだよこれから。この状況じゃ家に帰れないじゃん。」

「どうするってお前……そりゃあ……」

 そう言いながら、いつ拾ったのか小石を見せてきた。

 腕を見ると、〈アヴィリティドライブ〉は起動中だ。

「マジで言ってる?お前。」

「ああ。何のためにもらった能力だよ。今使うべきだろ!!」

 奴らを倒しに行くらしい。

 正直きつくね?義政はそう思った。

「やめとけよ。」

「じゃあどうするってんだ?大丈夫だ。お前はここで待ってるだけでいい。つーかむしろ動くな。すぐ終わっから。」

「ああそう。じゃ、頼むわ。無理すんなよ。」

「おうよ。」

 そう言い、千秋は立ち上がった。

 千秋の能力重力加減操作(グラビティメーター)によって体を軽くして空中に浮く。

 そして近くにあった木に登り、こちらに近づいている黒服が近くに来るのを待つ。

「ここら辺にいるんじゃないのか?」

 残り約5メートル、3メートル、1メートル……

 今。

 そのタイミングで小石を放り投げ、千秋が小さくつぶやいた。

「重くなれ。」

 重さが増えた小石はまっすぐ落ちていき……

 ゴッ……と。

 その黒服の頭に直撃した。

「ぐあぁ!?」

 頭を抱え、その場に倒れこむ。

 頭からは血が流れていた。

 それに気づいたほかの黒服たちが駆け寄ってきた。

「どうした!?」

「くそ、あいつらか!!」

「この近くにいるぞ!!探せ!!」

 そう言った時にはもう、小石の標的になっていた。

 一斉に落下する超重量の小石。

 さっきの男同様、駆け寄ってきた黒服たちの頭がカチ割れる。

「ぐあぁぁぁぁ!!」

「いっでぇぇぇぇぇ!!」

「頭がぁぁぁぁぁ!!」

 そう言いながら倒れていく。

 すこし離れた所にいた黒服が、千秋の存在に気付く。

「あ、そこにいるな!!」

 と言ったのもつかの間、ふわっと浮き上がるようにジャンプし、その男にふれ、

「重くなれ。」

 と言った。

 とたんに体が地面にめり込む。

「ぐあ……お、重い……!!」

 軽くその場に着地する。

「よし。ざまぁ見やがれ、カス!!」

 どや顔をきめる千秋。

 それを見て「すげ」と声が漏れる義政。

「さーて、これで終わりか。案外楽だったな。さ、帰ろうぜ義政。」

「おう。」

 義政が駆け寄ろうとした。

 

 その時。


 ザシュッ


 そんな鈍い音が響いた。

「いっでぇぇぇっぇぇぇ!?」

 千秋が腕を抑えてうずくまる。

 良く観えなかったが、ビユゥゥゥゥとかすかに聞こえた気がした。

 つまり……

「空気弾……?」

 その言葉に、それを撃ったであろう黒服が反応する。

「おやおや、なかなか冴えてるじゃねぇかガキ。俺も能力者だ。能力は、空気を好きなように放出できるっていう能力。名付けて空気砲弾(エアーミサイル)!!さぁて、ハチの巣にしてやるぜこのクソガキィ!!!」

 空気を連射する。

 千秋はそれを懸命によけ、少しかすりながらもその黒服に近づく。

(あいつに触れることができれば俺の勝ちだ!!)

 そうしてその黒服との距離が約1メートルになった。

 手を伸ばし、黒服に触れようとする。が、

「ブッとべぇ!!」

 範囲が広く、威力が強い風が放出される。

 それに押され、千秋は5メートルほど飛ばされた。

「くッ……そがッ……!!」

「甘い甘い!!そんなんで俺に勝てると思ってんのか?」

 そんな言葉も聞かず、また立ち上がって同じ戦法を試みる。

「なーんて無様。もういいや。死ね。」

 そう言い、空気が撃ち込まれる。

 そこへ、一人の少年が駆けつける。

「アヴィリティドライブ、起動!!」

義政だった。

 義政は、自分の能力が全遮断世界オールシャットアウトワールドだということは知っているが、どういった内容の能力かは知らない。

 だからもし能力の内容がこの状況を打破できるものでなければただの盾だ。義政は怪我を負い、最悪死ぬだろう。

 だが、だからどうしたというのだ。

 勝てるともわからない敵に友を守るために一人で立ちあがってくれたのだ。

 次は俺が守る番だ、と義政は心の中で呟いた。

「……あ~あ、めんどくせぇ。」

「やめろぉぉぉぉぉぉ!!」

 空気弾が義政に当たるまで残り一メートル。

 確実に死を覚悟した、その時。

『ゾーンを展開します。』

 そう、アヴィリティドライブから流れたと思ったら、義政の体からエメラルドグリーンのバリアみたいなものが出て、空気弾を打ち消した。

「な、何が起こったんだ!?お前、何をした!?」

 驚きを隠せない黒服。

「いや、そんなんこっちが訊きてぇわ。」

 義政があっさり答える。

 守れたんならなんでもええわ。

「くそくそくそぉぉぉ!!!」

 黒服が空気弾を連射し始めたが、結果は同じだ。

 すべて打ち消される。

「なるほどな。この領域内は能力を打ち消すことができるのか。」

「お前のその幻想をぶち壊す、てきな?」

 義政の言葉に、便乗してコメントしつつ立ち上がる千秋。

 ザッと一足前に進む。

「おい、待って……なんていうかよ!!」

 そう言って黒服は地面に空気弾を撃ち込み、割れた破片を空気をうまく調節しながら巻き上げ、二人の頭上に到達してから空気の放出をやめ、破片を落下させる。

「能力の攻撃じゃなきゃ防げねぇんだろ!!大量の破片の流星群に押しつぶされて死ねぇぇ!!」

 確かに能力だけを打ち消せるならこれはくらってしまう。

 なかなか頭の冴える黒服だ。

 だが、もしもそれだけでなかった場合は?

「この領域に入ってくんじゃねぇよ。」

 エメラルドグリーンの領域が光りだす。

 すると、その領域内に入った破片が斥力で吹き飛ばされた。

「な、なんだと!?」

「勘が当たったっぽいな。なるほど。領域内に入るものを任意で吹き飛ばせるのか。」

「こっから先は一方通行だ、みたいな?」

 何事もなかったかのような顔をしている義政に、黒服が突っ込む。

「なんでその能力があると分かった?」

 それに対し、真顔で答える義政。

「思ったんだ。俺がこいつに全遮断世界オールシャットアウトワールドと呼ばれていた状態のときは、自分の世界にいる感じだった。そこに干渉できるものは何もない。うるさい友人の声だろうと、空気弾だろうと瓦礫だろうと何だろうと、俺のこの世界、全遮断世界オールシャットアウトワールドの領域を害するものはすべて遮断する!!それが俺の能力だ、ってな。」

 あまりのチートっぷりに、ため息をつく千秋。

「チートすぎるだろお前の能力、うらやましいぜ……ま、要は俺らがコンビを組みゃ……」

「ああ、最強ってことだ。」

 そう言い、二人は前に進む。

「待ってくれ!!ほんとに悪かったって!!」

 無様な様子の黒服。

「今度のその言葉はぁ……嘘じゃねぇよな。」

 口元をニヤッとさせる千秋。

 その目は鋭く黒服をにらんでいる。

「ヒッ!?」

 それに恐怖を感じたのか、逃げ出す黒服。

 空気を放出して体を押し、勢いをつけている。

「どうする?走ってじゃ追いつかねぇぞ?」

「なぁ、実はさぁ、まだ石一個残ってんのよ。」

「ああ、なるほど。察した。」

「優秀な相棒で良かったわ。」

 そう言うと、その石を上に放り投げた。

 そして一斉に言った。

「重くなれ!!」

「吹き飛べ!!」

 重くなった石をものすごく強い斥力が押し出す。

 それはものすごい速さで飛んでいき、黒服に直撃した。

 ぎゃぁぁぁぁという断末魔とともに、黒服は吹っ飛んでいった。

「名づけるならば、重銃弾砲撃ヘビーバレットランチャー!!俺たち、無敵のコンビじゃね?」

「かもな。知らんけど。」

 鞄を背負って帰ろうとした。

 すると急に地面にドアが出現し、ドアが開いた。

「ヨイショっと。あれ?もう終わってんじゃん。俺の出番なしかよ。」

 そこから眼鏡男が現れた。

 周りを見ると他にもいろんな奴らが現れた。

 眼帯をして右手に包帯を巻いている少女、かわいらしいショートヘア女子、ツインテールぶりっ子、

筋肉野郎、キリっとした青年の六名。

 キリッとした青年が話し出す。

「君たち大丈夫かい?ちょっとお時間いただけるかな?」

 二人はあることに気付いた。

 ここにいる六名、全員アヴィリティドライブを装着している、ということだ。

「なんかやばい雰囲気……」

「はぁ……だから平和の方がいいって言っただろうが、ったくめんどくせぇ。」

 その二人のことなんて気にせず、青年が続ける。


「二人とも、俺らの仲間にならないか?」



これからも頑張ります。

どうぞお付き合いください。次回もお楽しみに!!

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