表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ステータスが見えるようになった俺は君を絶対に救い出す! ~俺と天使の事件捜査ファイル~  作者: 藤原ゴンザレス
優しい悪魔

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

58/66

アナセマ

 菊池はホラー映画の怪物のマスクをしていた。

 顔が見えないのに俺がやつを菊池だとわかったのは、おっぱいマイスターの能力に他ならない。

 おかしい。俺、この能力……野郎にしか使ってない。

 俺が絶望的な顔をして見ていると、菊池はモデル立ちをしていた。

 このナルシスト野郎!

 警察はまだ来ない。

 いや……近くにいるのだろうが、遠藤さんが人質にされてるせいで近づけない。

 しかも射殺の許可は中々下りない。

 マスコミの餌食になるだろうから、ギリギリまでやらないだろう。

 俺は自分が冷や汗をかいていることに気づいた。

 手も汗だらけだ。

 そんな俺と菊池の目が合う。

 すると菊池は叫んだ。


「神の世界へようこそ! 私が菊池だ!」


 菊池は自信満々で叫んだ。

 知るかボケ!

 それは世界のみんなが思っただろう。

 だが菊池は気にしない。

 なぜなら菊池にとって自分が賞賛されるのは当然だった。

 肥大化し暴走した自意識は妄想で厚くコーティングされていたのだ。

 だから他人の言葉や常識は妄想の壁に阻まれ通じない。

 俺を殺そうが、逃げようがどうでもいいと思っている。

 やつは今だけを見ている。

 今、やつは最高に幸せなのだ。


「どうでもいいから遠藤さんを離せ」


 俺は言った。

 だが野郎は聞いてなんかいない。


「真相を話そう。あれは10年前の事だった……」


 自分語りが始まった。

 俺はだいたいは推理……プロファイリングしていた。


「俺たちは鈴木千穂だっけ……とにかく女の子をプールに沈めた。あれほどの快楽はなかったよ。あんな小さな体で何度も何度も浮かび上がってきて……必死に生きようとするその姿。それを壊すのがあれほど楽しいなんて! 私はそのとき理解した。世の真理をな。親も! 教師も! 新聞も! テレビも! 全て間違っていたんだ! こんなに楽しいことを禁止するなんて! 全て嘘っぱちだったんだ! だから俺は神の意のままに人を殺した。殺して殺して殺しまくった!」


 醜悪な叫びだった。

 やはり始まりは10年前だった。

 菊池は10年前に殺人の快楽を知ったのだ。

 今まで何人を手にかけたのか? それは考えたくもない。

 俺は怒りを必死に静めていた。

 怒っていたのは俺だけじゃないだろう。

 俺は知らなかったが、このライブは世界中で試聴されていた。

 逃げたテレビ局の代わりにネット配信者たちがジャーナリズムを支えていた。

 わかっているだけで数億人が俺たちの姿を中継していた。

 なにせテロリストとの戦闘が俺のせいで中断されてたくらいだ。

 ライブはすぐさま各国語に翻訳され、字幕版が配信されていた。

 刑務所の囚人や戦地の兵士、テロリストまでがこの平和な国にいる俺たちを見守っていた。


「私は殺すためにこの世に生まれた。殺して殺して殺して殺しまくった! このHIKARUを殺して俺の旅は終わる! そして俺は真なる神の元へ逝く!」



「いいから遠藤さんを離せゴミ野郎!」



 俺は怒鳴った。

 もう我慢ならねえ!

 ぶん殴ってくれる!

 俺はゆっくり菊池に近づいた。

 一歩一歩、着実に、細かい異変を見逃さないように。

 菊池が拳銃を持っていないとは限らない。

 菊池が顔を歪める。


「HIKARUちゃあああん♪ あーそぼー♪」


 菊池が背中に手を回した。

 俺は走った。


「相良さん! 時間を稼いで!」


 皆川の声がした。

 俺は確信していた。

 これならわかる(・・・)

 知っているんだ!

 それは剣だった。

 刃渡りが長い違法な品だ。

 それを菊池は背中に隠していたのだ。

 だが、菊池は知らなかったのだ。

 そいつは。そいつが来るとさえわかっていれば、俺には対抗できたのだ。

 だって正面打ちは合気道の基礎だぜ。

 格好つけた菊池は思いっきり振り下ろした。

 それと同時に俺は菊池の懐に飛び込んだ。

 菊池は度肝を抜かれただろう。

 俺はそこから剣を捕って華麗に投げ……というほど俺は達人じゃない。

 だから俺は菊池の剣を握る指を思いっきり殴った。


 べきり。


 よかった。

 俺は成功を確信した。

 菊池は関節が固い。

 つまり壊れやすかった。

 指が外れたのだ。

 よほど痛かったのだろう。

 菊池はその瞬間、思わず遠藤さんを手放した。

 だが俺はもう次の動きに入っていた。

 菊池の腕をつかむと、捻り、そのまま地面に押さえつけようとした。

 形だったらこれで終わりだ。

 だが現実はそうはいかない。

 菊池は抵抗した。

 力で対抗してきた。

 腕力の強い人間の抵抗ではない。

 だが渾身の力で抵抗した。

 リミッターの解除された人間の腕力をなめてはいけない。

 どうしても小柄な俺は体勢を崩された。

 いや少し吹っ飛んだ。

 だから俺はなんとかバランスを整えると、すぐさま刀を持っている手を脇で抱えた。

 離したら斬られる。

 それはわかっていた。

 突如、ガンッという衝撃で俺の頭が揺れた。

 菊池が俺に頭突きを放ったのだ。

 もう一度、もう一度。

 俺は二本の手で腕を抱えている。

 向こうの方は攻撃し放題だ。

 フリーな方の左手で俺を殴る。

 どうしても剣を落とさなければならない。

 俺は思った。

 だから俺は菊池の指をつかんだ。

 そして変な方向に曲がった指を思いっきり捻る。

 第2関節から思いっきり折りにかかる。

 剣を離しやがれ!


「ぎゃああああああああッ!」


 菊池は叫んだ。

 俺は悲鳴がしても容赦しない。

 べきべきと音がしてもさらに指を曲げる。

 からんと音がした。

 やった!

 剣を落とした!

 俺は落ちた剣を蹴飛ばす。

 すると今度は俺の肩から強烈な痛みが走った。

 噛みやがったなこの野郎!

 正直言って、漏らしそうなほど痛かった。

 人生で一番痛い!

 俺は指をさらに曲げ、今度はマスクの上から菊池の目に指を突っ込む。

 菊池がさらに悲鳴を上げ、俺の後頭部を殴ってきた。


 クソ、技をかけたいけど噛みつき攻撃が外せねえ。


 俺は泣きたい気分だった。

 へし折った指をさらに曲げてねじ伏せようと思ったが、なにせ俺の肩に噛みついた菊池の顔が離れない。

 それは武道的美的感覚ではアウト。どこまでも醜い戦いだった。

 だが俺たちは必死だった。

 俺の中では一時間ほど戦ったような気がしていた。

 だが、これはたった十数秒のことだった。

 ふいにその時がやって来た。


「相良さん! 離れて」


 どうやって?

 俺が正直泣きそうになっていると、皆川が菊池に触った。

 その衝撃で菊池の目から俺の指が離れた。

 俺は肘打ちを菊池の顔に何発もお見舞いする。

 ブチッと嫌な音がしたが菊池の歯が外れた。

 どろっとしたものが俺の首から流れた。

 俺は振り返って菊池を一発殴ると間合いを取った。


「アナセマ!」


 皆川が叫んだ。

 すると晴天のはずの空から雷が鳴った。

 アナセマ……宗門堕ち……地獄堕ち。

 どっちだろうか?

 そんな事を考えながら俺は首を触った。

 血まみれだ。

 俺の血で。

 俺は菊池を蹴飛ばした。

 ムカついたというのもあるが、先に優先すべきは皆川だ。

 俺は皆川を自分の後ろへ引っ張った。


「皆川! 遠藤さんを回収……」


 と遠藤さんがいた場所を見たら、動画投稿者たちがとっくに回収していた。

 GJ! マジでお前ら偉い!

 今回のMVPよ!

 あとはズラかるだけ。

 と思った俺の目に映ったのは口から凄い量の血を流しながら剣を取る菊池の姿だった。

 良く見ると前歯がなくなっている。

 ……俺の肩がやたら痛いのですが刺さっているようでゴワス。……菊池の歯が。

 菊池は剣を振りかざした。

 俺はもう最初の動きは無理よ。

 こりゃまずいなあ。……と、思った瞬間だった。

 バンッと音がして俺たちは吹っ飛ばされた。

 俺はアスファルトでバウンドした。

 ぱきん。

 肋骨の折れた音がする。

 痛ってええええええええ!

 だが菊池はそれどころじゃなかった。

 なにせ焼け焦げていたのだ。


「天罰……のようですね」


 皆川が言った。

 これは死んだかな……

 正直言って俺はそう思った。

 だが次の瞬間、菊池は動いた。


「あうあ……あうあ……」


 虫の息だが動いていた。

 そして菊池は倒れた。

 そういや持っていた剣はどうなった?

 俺がそう思った瞬間、剣が落ちてきた。空から。

 そして菊池の腰の辺りに刺さった。


 神様……あと悪魔。

 あんたらやること過激すぎじゃね?


 なんて俺は気を抜いていた。

 まだ事件は終わっていないのに。

修正もうちょっと待ってくださいでゴザル……マジで時間が……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ