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ステータスが見えるようになった俺は君を絶対に救い出す! ~俺と天使の事件捜査ファイル~  作者: 藤原ゴンザレス
優しい悪魔

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スナッフフィルム

 俺はスマートフォンを見る。

 SNSを確認する。

 今回の俺の失敗は連中にまだ失うものがあると考えていたことだ。

 いや、それを理解しろという方が難しいだろう。

 なにせ俺は死にたくないし、有名になりたいという願望もそれほどない。

 女装してテレビの前に出るなんて悪夢そのものだ。

 たとえ鏡を見て「あれ? 俺って可愛くね? 美少女じゃね?」とか思ってもだ。

 ちょっと写真写りのいい角度とかも思案したが、それも今日で終わりだ。

 なにせカメラの前で全て暴露したのだ。

 明日からは女装が趣味の変人としてクラスでいじられるに違いない。


 隠される上履き。

 机に置かれる花瓶。

 女子が遠巻きに悪口。

 クラスのヤンキーに女装を強要される俺。

 エスカレートしてすっげえことされる俺。

 男の子なのに妊娠。

 ま、まずい!

 ら、らめえええええええええ!


「思いっきり声に出てますよ。変態お兄ちゃん」


 美香。


「声に出てるよ。ド変態ダーリン♪」


 北条。


「声に出してるぞド変態」


 吉村。


「いつもこうなんですかこの人?」


 最後は皆川だ。

 皆川はドン引きだ。


「「うん!」」


 みんなで肯定。

 ひでえなおい!

 俺はごまかすようにスマートフォンでSNSを見る。

 口笛などを吹きたいへん不審である。


「ふ、ふひー♪」


 俺の口から空気だけが漏れる。

 そういや俺、口笛吹けなかったわ。

 俺は恥ずかしさでいっぱいだったが華麗にSNSを探索する。

 まずは俺自身をエゴサーチする。


『中の人などいない!』


 いいね 10万


『天使の尻尾が生えてるだけの女の子』


 いいね 2万


『むしろそれがいい!』


 いいね 36万


 このド変態どもめ!

 とりあえずタイムラインを見る限り『HIKARUは相良光太郎ではない』ことになっている。

 なんなのお前ら!


 俺はあわてて殺人を検索した。

 やはり殺人動画祭りが開催されていた。

 そこには武藤の栄光の人生が収められていた。

 坊主頭の少年が同級生を殴る場面。

 バイクヘルメットを被る男性を素っ裸にして殴る場面。

 職場の同僚にビルの屋上のフチを歩かせて……あ、落ちた。

 女の人を……これは語るのはやめておこう。

 有名ボクシング映画のBGMに合せてハンマーでなにか(・・・)を殴る武藤。

 一人の少年が殺人犯になるまでの貴重な映像だ。

 世界中の犯罪心理学や犯罪学、刑事政策の関係者が欲しがるであろう映像かもしれない。

 次に配られたもはもっと身の毛のよだつ映像だ。

 絞殺コレクションだ。

 殺人の快楽に目覚めてからのたった数日間。

 まるで羽化した蝶が羽ばたくがごとく殺人を繰り返している。

 二桁は殺しているだろう。

 老若男女……老人から子どもまでもだ。

 そんなパピオン菊池の大活躍はアップロードするのと同時に消されている。

 当たり前だ。

 だが今日明日には外国のグロ専門動画投稿サイトにコピーが作られるだろう。

 なんという人間の醜悪さよ。

 さて、全ては見てないが俺は一つ疑問を抱いた。


「これ撮影してるのって……」


 撮影者がいるのだ。

 俺は難しい顔をしていた。

 すると吉村がやって来て俺の携帯を引ったくる。


「ちょ、なんで取るのよ!」


「光太郎、こんなの見てもいいことないよ! まったく、去年も今も変態野郎に振り回されて! みんなバカじゃないの!」


 吉村は怒っていた。

 美香も北条も殺人鬼に関わったせいで常識からはずれている。

 皆川も同じだ。

 だけど吉村だけは普通だった。

 なにをされようが普通を失わなかった。

 だから俺は原点に立ち返った。

 殺人鬼と腹の読み合いをする前の俺だ。

 そうか……


「それだ! 吉村!」


「なにが?」


 吉村はキョトンとしている。

 そうだよね。

 殺人動画凄いなんて言わなきゃいいんだよね。

 なんで俺、あんなの見てたんだろ。

 武藤が殺されたときから主導権握られてたわ。


「ありがとよ吉村。愛してるぜ!」


 いつもの軽口だ。

 だがそのときは違った。

 吉村の顔が沸騰する。

 いや俺、女の子の格好してるんですけど。


「おバカ!」


 吉村が怒る。

 俺は他の連中を見る。

 それまでニヤニヤしてた北条は目を虚ろにして髪を一本口にくわえている。

 いやマジで怖いからそれ。

 美香は普通にふくれていた。

 美香ちゃん可愛い!

 俺は思わず頭をなでる。


「がう!」


 手を叩かれた。

 酷い。


「なにやってるんですか……」


 皆川は呆れていた。

 ついでだから俺は皆川に言った。


「次で帰ってくると思う」


「え?」


「まあ任せろ」


 さて俺の作戦は単純だ。

 まず事態を整理しよう。

 やつらは殺人動画をアップロードすれば有名になることができると信じている。

 妄想を満たすには俺が必要。一応有名人だからな。

 俺を動かすには遠藤さんが必要。

 だから遠藤さんは殺されない。

 遠藤さんをどうにか奪い返す。

 それには連中の居場所をつかむ必要がある。

 俺は間抜けな武藤をターゲットに絞った。

 だが犯人も武藤をリストラ。殺害。

 グロ画像祭り。


 携帯のGPSやらで犯人の居場所は特定されているはずだ。

 考えられるのはオレオレ詐欺に使われるような違法な端末を用意していて、海外のサーバーを経由して投稿してる可能性だ。

 警察や官僚がいくら優秀でもその手の運用が適当な国だとどうしても特定に時間はかかる。

 逃げたい犯人ならじきに犯行がわかってしまうが、連中は捕まることを恐れていない。

 俺と遊ぶためだけの時間稼ぎで充分だ。

 どこの国でも同じだが、個人でも有名人と差し違えることはできる。

 どんなに監視しようともそれは変わらない。

 それは俺も同じだけどな。

 俺が額にしわを寄せていると、声がかかる。


「みなさん用意できてます」


 俺は歩く。

 女装したまま。

 いいかげん男に戻りたいです。

 俺は夏の体育会系のごとくデオドラントスプレー臭くなった姿でカメラの前に立つ。

 一日に何度も化粧直しとか悪夢の極みだ。

 杉浦みたいにニキビを気にしている方がまだマシというものである。

 俺はカメラの前に立つと言った。


「もう、やめてください! これ以上罪を重ねないで!」


 秘技。『お前が言うな』の術。

 俺は目に涙をためて訴える。

 さて、この術で何人が「てめえぶっ殺すぞ」と思っただろうか?

 その反応正常です。

 それともなんとなく流されて納得してしまうのだろうか?

 そんな貴方は詐欺に騙されやすい人です。


「もうやめて! あなたたちが最高の人殺しだってわかりました! だから遠藤さんを帰して!」


 俺は全力で泣きマネをした。

 押してダメなら引く。

 そして俺の目的へ一気になだれ込む。。


「XX区XXに来てください。決着をつけましょう」


 指定されれば来るしかない。

 来なかったら伝説は終わりだ。

 遠藤さんを殺しても終わりだ。

 俺から逃げた、ただのクズとして処理される。

 俺という伝説のおまけとして扱われるだけだ。

 残った二人はそういう損得を計算できるはずだ。

 人殺しとスナッフフィルム野郎だが、武藤よりは頭がいいはずだ。

 やつらにこれを断る選択肢はない。

 あとは警察に任せれば終わりだ。

 卑怯? 知らない言葉だなあ!


 俺は言いたいことだけ言うと戻った。

 質問には、テレビに出ている元裁判官のタレント弁護士が俺の代わりに答えることになっている。

 俺は北条や美香、吉村の所に行くと言った。


「お前らは帰れ。わかったな」


 次に俺は皆川に言う。


「皆川もだ」


 皆嫌そうな顔をするが、俺は有無を言わせなかった。

 俺は囮で残るっと。

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