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ステータスが見えるようになった俺は君を絶対に救い出す! ~俺と天使の事件捜査ファイル~  作者: 藤原ゴンザレス
優しい悪魔

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きついさらし

「い、いえ! 結構です!」


 皆川は必死に手をバタバタさせた。

 すると美香も吉村も俺に非難の目を向ける。

 なにその顔。


「セクハラ~!」


 美香ちゃん、なんでよ!


「さ~が~ら~!」


 吉村!

 なんで指をポキポキ鳴らしてるの!?


「セクハラって男同士だろが!」


 俺はたまらず言った。

 すると二人とも「やれやれこのおバカはわかってないぜ」って顔をしやがった。


 うん……?


 ちょっと待て。ちょっと待てよ。

 俺は皆川のステータスを確認する。

 もはや人権など関係ない。

 そこにエロがある限り!



 名前  : 皆川晶

 ヨミ  : ミナガワ アキラ

 AGE : 14

 職業  : アイドル、悪魔

 所属  : オフィス・アークエンジェル、中学生

 LV  : 33

 HP  : 85/85

 MP  : 785/785

 STR : 60

 INT : 300

 DEF : 61

 AGI : 56

 DEX : 89

 LUK : 21



 スキル :


 演技  : LV24

 歌唱  : LV30

 演奏  : LV32

 捜査  : LV17


 魔法  :


 アナテマ

 サーチ


 バッドステータス:


 きついさらし


 備考  :


 悪魔だけど相良くんの味方です。 (神様)




 ……お前が悪魔か。

 俺は心に刻み込んだ。

 だがもっと重要なことがあった。

 悪魔であること?

 いや違う。

 俺にとって、俺個人にとって重要なことは一つだった。



 バッドステータス:


 きついさらし



 もう一度。



 バッドステータス:


 きついさらし



(巨乳……だと……)


 俺は心の中で最高経営会議を開く。

 とうとう現れた巨乳キャラについてだ。


「みなさん! とうとう豊かなお胸の女の子が出現しました」


「それは素晴らしい!」


「異議あり! 相良光太郎はヘッドロックされたときの肋骨の感触に人生の喜びを見いだしていたのではないのですか!」


「そうだそうだ! 貧乳こそガンダーラではなかったのですか! どうなんですか相良社長!」


「私から言えることは一つだ。おっぱいイズギャラクシー!」


「「な、なんだってー!」」


「天はおっぱいの上におっぱいをつくらず、おっぱいの下におっぱいをつくらず。わかるかね。おっぱいへの執着を捨て悟りを開くのだ。それこそがおっぱいに近づく道。瞑想せよ! 宇宙(おっぱい)と一体になるのだ!」


「いえっさー! せんぱーふぁい! おっぱい!」



 俺は結論を出した。

 巨乳だっていいじゃない。だっておっぱいだもの。こうたろう。



「お兄ちゃんが悟りを開いてる……」


「美香ちゃん。とりあえず直るまで頭叩こうか」


 俺は壊れた家電じゃねえ。

 だから俺は言った。

 断じて命乞いではない。


「もうやだなぁ。皆川は女の子に決まってるじゃないか。俺は最初からわかっていたよ」


 歯をきらりんと光らせる。

 なぜかその場にいた女子全員がドン引きだ。


「バカ兄が壊れた……」


 一言で終わらせるな。

 と、いつもの兄弟漫才に走ろうと思ったところで俺は気づいた。



 悪魔だけど相良くんの味方です。 (神様)



 神様ぁッ!

 俺は「ぎぎぎぎぎ」と皆川の方を向く。

 な、言っただろ。

 人のプライバシーを勝手に暴くと天罰が下るって。

 死亡フラグが立つって。


「相良さん。どうされました?」


 俺はなにも言わなかった。

 ただ言葉の代わりに真剣な顔で上を指さした。

 皆川は一瞬顔をしかめると、作り笑いをした。

 その笑顔が怖い。

 美香も俺の様子を察したのか真剣な顔になった。


「あとでお話ししましょう」


 ああ、なんてことだ。

 おっぱいなのに!

 おっぱいなのに神様案件なのだー!


「お兄ちゃん……」


 俺は不安そうな顔をする美香の頭をなでる。

 なぜか吉村が俺をガン見していた。

 ……すっげえ顔で。


「吉村さん……なにかありましたか?」


 俺は一応聞いた。


「な、なんでもない!」


 吉村は顔を赤くした。

 ……わからない。

 童貞にはこういうときにどうすればいいかわからない!

 挙動不審にソワソワすることしかできない。

 これも全て、なにもかも、人生に起こった全ての災厄は童貞のせいに違いない。


 会社に辿り着く。

 このビル全体がオフィス・アークエンジェル……そんなわけがない。

 このワンフロアのさらに一つの区画だ。

 俺たちは皆川たんに先導されてエレベーターでビルの7階に行く。

 オフィスのある階に行くと、『オフィス・アークエンジェル』と書かれたドアの前に行く。

 その近くには所属タレントのCDや写真集が飾られている。

 ドアはカードキー式のオートロック。

 来客はドアの前に置かれたタッチパネル式の専用端末で中の担当者と通信する仕組みだ。


「カードキー持ってるんですけど、ボクのだと広報部に入れませんので中に連絡を取ります」


 皆川はそう言うと広報部のボタンをタッチする。

 そして中の担当者、戦略担当部長である北条沙織と書いてあるボタンヲをタッチし受話器を取る。


「……はい。皆川です。相良さんをお連れ致しました。……はい。よろしくお願いします」


 皆川は通話を終わる。

 そしてにっこりと笑った。


「しばらくお待ちください」


 俺は扉の横にあったソファに座った。

 美香と吉村はアイドルの写真集を見ている。

「きゃー!」とか「えっち!」とかと盛り上がっている。

 あいつら本当に仲が良いな……

 俺はなにもすることもなくボケッとしていた。

 すると皆川が話しかけてくる。


「相良さんは天使……なんですね?」


「ああそうだよ」


「じゃああの事件も」


「そういうことだ」


 皆川は少し考えた。

 そしてなにか決心したのか、俺に言った。


「相良さんは、悪魔狩りってご存じですか?」


「初耳だ」


 だって神様ってなにも教えてくれないんだもの。


「悪魔が悪魔を取り締まる組織です。私はそこで調査官をやってます」


「調査官ってなに?」


「証拠が必要ですから」


 証拠……必要なの?

 神様とか悪魔パワーでなんとかならんの?


「とは言っても勝手に任命されただけですが。相良くんもそうでしょ?」


 まったくその通りだ。

 同じ境遇のようだな。


「ああそうだよ。俺も勝手に天使にされた。それで……質問していいか? 悪魔はあの殺人鬼みたいなのが欲しいんじゃないか?」


 皆川はオーバーアクションでため息をついた。

 俺は見逃さなかった。

 さらしを撒いているはずなのに少し揺れたことを!

 ナニコレ凄い!


「いいえ。組織を作るでもなく、ただ人を殺し続ける存在になんの価値が? 悪魔側は社会の変革を望みますが、ただの人殺しはいりません」


「悪魔も社会の一部……という意味なのか?」


「概ね合っています。悪魔もまた神の駒にしかすぎないということですよ」


 神様の意図がわからん。

 なぜこんな面倒なことをしているのだろうか?

 だから俺は話を変えた。


「それで……俺に皆川を守れって言う神からの指令が下ったんだけど、なにか心あたりは?」


「……あります。今調べている案件です」


 あるのー!

 あっちゃうのー!?


「鈴木千穂ちゃんの殺人事件ってご存じですか」


 俺は瞬時にあの胸糞の悪い夢を思い出した。

 わかっちゃった。

 今回の指令わかっちゃったー!

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