最終決戦 4
これがホラーだったら警官もグルで俺は生きたまま解剖されて終わりだっただろう。
だけど警官たちはまともだった。
それだからなのか俺に対して激怒していた。
あれから俺の大捜索が始まっていたのだ。
なにせ今夜の警察は失態続き。
俺だけは犯人の能力で姿形を認識できない事を知っている。
記憶する事もできないのだ。
でもそんな能力があるなんて誰にも信じてもらえない。
トップはお詫び行脚を繰り返し、上から下まで辞職祭りは確定していた。
上級組織の国家公安委員会どころか内閣府、さらには内閣総理大臣までこの事件で辞任しそうな勢いだ。
さすがに日本の安全神話が揺らぐのはまずいのだ。
そこでさらに、万が一、俺になにかあったら取り返しのつかない事態になっただろう。
だから警察の皆さんは俺と北条を血眼で探していたのだ。
そりゃそうなるわ。
そして殺気だった警官に吉村が通報。
当然のように捕獲された俺は、四方をマジギレする警官に囲まれてお説教されたのである。
だけど警官たちも美香を救出したのだけは褒めてくれた。
今回の俺はガラスの破片が少々刺さっただけだった。
それでも警官たちは心配していた。
お前は中学生以下の役立たずか!
なんて言われたら困るもんな。
というわけで、俺は救急車を待っていた。
北条と美香のための救急車だ。
俺にはなぜか護送車が呼ばれている。
警護に名を借りた逃走防止のためだ。
完全に目的外使用だが、俺の関係者からも異論は出ていないらしい。
ひどくね?
犯人は捕まえられなかったが、これで犯人は手駒を全て失った。
完全勝利ではないが勝利条件は充しただろう。
警官も本気で俺を警護するだろうし、犯人の指紋はばっちり取った。
認識が阻害されようとも防犯カメラの画像もある。
もう犯人に逃げ場はない。
終わりだ。
俺は組長に「調べろ」とは言われたが天罰を落とせとは一言も言われていない。
むしろ神様は俺に感謝すべきだ。
俺が安堵していると救急車がサイレンを鳴らしながらやって来た。
俺は救急隊のステータスを見るが問題はない。
悪魔はどこかに逃げたに違いない。
北条たちが今度こそ救急車に乗る。
俺は美香に別れを告げようと駆け寄る。
美香はストレッチャーに乗って体をベルトで固定されていた。
やはり意識はないようだ。
「あ、すいません。ちょっとお別れだけいいですか?」
そう言うと俺は有無を言わさず美香の手を握る。
すると美香の声が聞こえてくる。
やはり接触しないと会話できないのか。
もう俺の中にはいないんだな。
『やっほー光ちゃん。なになに? なんですか?』
一応、別れの挨拶をしておきたくてな。
元気でな。
『もー、意識が戻ったら会えばいいじゃないですかー』
そうだな。
俺も美香も二度と会う事はないとわかっていた。
それでも気休めってのが二人の間には必要だった。
『それじゃあ……また……会いましょうね』
ああ。またな。
俺は美香から手を離した。
「ありがとうございます」
俺は先に入っていた北条に手を振る。
北条は俺に頭を下げた。
たぶん俺と北条の人生が交差するのもこれで最後だろう。
北条はこれから本当の親と暮らし、つらい思い出のある俺の前には二度と顔を出さないだろう。
それが北条本人のためになるのなら、俺は口を挟む気はない。
救急車のドアが閉まり、サイレンを鳴らしながら遠ざかっていく。
俺は使命を果たしたのだ。
俺はぼうっとしていた。
疲れていたのだ。
ガラスの破片を抜いた傷口はもう血が止まっていた。
自動回復のおかげだろう。
俺がぼうっとしていると、警官がやって来るのが見えた。
俺に手を振っている。
俺が気づくと警官は救急車がやって来た方を指さした
「すいません。もうすぐ到着するそうです」
「そうですか」
俺は立ち上がると、ポケットに手をつっこんで警官が指さす方を見た。
警官は俺に近づいてくる。
そして俺の間合いに入った。
次の瞬間、俺はポケットに入れていた植木鉢の破片を握り、警官の首目がけて斬りつけた。
ドバッと血が流れるが、一撃で仕留めるほどではない。
浅かったか!
俺はわかっていた。
顔こそわからないが、こいつは悪魔だ。
すると悪魔は傷口を押さえながら笑った。
「ずうっと不思議だったが、なんでわかった?」
おっぱいマイスターの能力だ。
LV60を超えたスキルは、男のおっぱいでも識別可能だったのだ。
でも言わない。恥ずかしいから。
「殺気だ。警官が俺にそんな殺気を放つわけがない」
困った俺は武道の達人めいた言葉でごまかした。
「へぇ……達人ってのはいるもんだね」
俺はあらためて悪魔のステータスを見る。
名前 : なし
ヨミ : ナシ
AGE : 42
職業 : 悪魔
所属 : なし
LV : 96
HP : 1737/2456
MP : 1209/1209
STR : 905
INT : 409
DEF : 900
AGI : 359
DEX : 789
LUK : 13
スキル :
天才 : LV124
魔法 :
認識阻害
無音
意識外からの攻撃
バッドステータス:
絶望
備考 :
殺人鬼
今のでヒットポイントが三割しか削れていない。
どれだけ硬いんだよ!
悪魔はへらへらと笑いながら牛刀を抜く。
リアル肉切り包丁なんて冗談じゃねえ!
だが逃げる時間は与えられない。
悪魔は容赦なく牛刀を振ってくる。
小手返し? 入り身投げ?
ふざけんな!
ブンブン振ってくる奴にどうやって技をかけるんだよ!
容赦なく斬りつけてくる腕を叩き落とす。
えっとセオリーでは思いっきり叩き落とすと、それ自体が溜めになるから危な……
ブンッとはじき飛ばした手が返ってくる。
俺の顔面狙いの横なぎだ。
ひい! 俺は身を屈めて避ける。
すると悪魔がバランスを崩した。
チャンス!
俺は悪魔を蹴飛ばす。
悪魔が倒れると俺は逃げるため走る。
「おい! お前、何をやってるんだ!」
俺には長い時間だったが、実際には一瞬だったらしい。
警官が怒鳴り声を上げた。
「あはははははは!」
悪魔が笑うとパーンッという破裂音が響いた。
つい先ほど怒鳴った警官が崩れ落ちる。
そうか、警官の装備まで奪ったのか!
悪魔は銃を握っていた。
これで終わり……もう警官に射殺されるはず……
違う!
悪魔は一生俺につきまとう。
そのたびに犠牲者が出るのだ。
ここで終わらせるのだ。
走っていた俺は、トップスピードでターンする。
膝が悲鳴を上げるが、俺は力を振り絞った。
すると俺の頭に俺のステータスが表示される。
なにか知らせたいらしい。
名前 : 相良光太郎
ヨミ : サガラコウタロウ
AGE : 13
職業 : 中学生(権天使)
所属 : 合気道部
LV : 59
HP : 690/780
MP : 720/943
STR : 357
INT : 311
DEF : 463
AGI : 319
DEX : 965
LUK : 111933
スキル :
学力 : LV85
格闘 : LV535
物理攻撃: LV400
物理防御: LV400
魔法 : LV380
おっぱい: LV61
くっころ: LV1
裸王 : LV1
自動回復: LV101
魔法 :
ステータスウィンドウ(強)
脳内物質コントロール
神経伝達物質ブースト
演算ブースト
限界突破
天罰
バッドステータス:
童貞、ド変態、上級紳士、おっぱい星人、童貞特有の猜疑心、ビビリ、貧乳教徒、くっころ
備考 :
天使 ※超必殺技解禁しました。使ってください(神様)
裸を見られるとMP回復
残りスキルポイント 1600
よし超必殺技使うぞ!
俺は拳を握る。銃口が俺を狙う。
「死んでしまえ!」
悪魔は怒鳴った。
俺は天罰の使用を念じた。
俺の体がこれ以上ないほど軽く感じる。
まるで飛んでいるかのようだ。
それほど俺の踏み込みは早かった。
「うおおおおおおおおおぉッ!」
俺の拳が悪魔の顔、そのど真ん中を捉えた。
犯人が引き金を引くのと、俺の拳が犯人の顔を撃ち抜くのは同時だった。
雷が落ちたような音がした。
俺は極限まで脳内演算を高速化した世界で見た。
俺の拳が銃弾ごと拳銃を破壊し、犯人の顔面を打ち砕くのが。
悪魔が吹き飛んだ。
悪魔はまるでボールのように放物線を描く。
地面に当たるとアスファルトが砕け破片が飛ぶ。
それでも止まらずパトカーにぶち当たり、そのまま跳ね返って隣家の壁に頭からぶち当たる。
悪魔は壁を突き抜け、中の鉄筋に引っかかり、ようやく止まった。
警官たちは呆然としていた。
警官は武道経験者だ。
だから知っている。
こんなパンチがあるはずないと。
俺も驚いていた。
俺の踏み込んだ場所のアスファルトは割れていた。
靴はボロボロになっている。
正気に戻った警官たちが俺の元に走ってくる。
さすがに逮捕ってことはないだろう? ねえ?
すいません!
長くなったので分けます!
最終話は夜に投稿します。




