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「何を勘違いしている? 話し合おうと言っているだけだ」
「この状況でか? 平和に話が進むとは思えないけどな」
「だから笑っているではないか」
「それが怖いんだよ」
「埒が明かんな」
メアリーがため息をついた。俺の腕をつかんだまま、背をむける。
「とりあえず、きてもらおうか。みんな、行くぞ」
「ちょっと。Bに何を」
「おまえたちはここで待っていてもらおう」
メアリーが振りかえり、制止の声をかけたジャスミンに言い放った。そのまま、ちらっと俺のほうをむく。――ここで俺が抵抗したら、ジャスミンに何をするかわからないってことだな。従うしかない、か。
俺、このまま殺されるのかな。
「悪い。ちょっと行ってくる。待っててくれ」
俺はジャスミンのほうをむいて言い、メアリーに引っ張られるまま歩くことになった。俺の後ろを、残り四人のダークエルフがついてくる。――メアリーは、この地下工場のことをよく知っているらしい。そのまま、あちこち歩き、作業員の休憩所なのか、ナイトゴーレムをつくっているゴーレムをしまう倉庫なのか、なんだかそれらしい広い場所にでた。ほかの人の気配はない。
「さてと」
メアリーが俺から手を離し、こっちを振りかえった。背後の四人も無言で立っている。女は殴りたくなかったんだが。
「何が望みだ?」
このまま殺し合いになるのかな、と思っていたら、メアリーが意外なことを言いだした。
「望みって、何がだ?」
「だから、どうしたら、あのことを黙ってくれるのかと訊いている」
「は?」
殺されるのかと思っていたのに。訳がわからないままボケッと立っていたら、メアリーがイラついたような顔をした。
「私たちは街エルフだが、もともとは森に住んでいた。いまも故郷に仕送りをしている。ナイトゴーレムのプログラムを書き換えたことがばれたら、ここにはいられなくなるからな。そうなりたくはないんだ」
「騎士の地位ももらったし、ここは食べ物もうまいからな。帰りたくない」
「大体、こんな失態、大婆様に知られたら殺される」




