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「こんな、白でも黒でもない、中途半端な色をして。しかも中国人ではなくて日本人だ。日本人は、相手の顔を見てへらへら笑いだす、頭のおかしな連中だと聞いているぞ。そんな奴の相手なんか、まともにやっていられるか」
へらへら笑うってのは、営業スマイルのことだと思う。あと、言葉が通じないときは、笑顔で仲良くってのが日本人の流儀なんだが、ここでは通用しないらしい。それはいいけど、俺、また死にたくなってきた。俺たちはこんなこと言われてるのか。
「あの」
メアリーの背後に立っていたダークエルフのひとりが手をあげた。
「それで、その獣人類が、どうやってナイトゴーレムから大剣をとりあげたんだ? それから、大剣をとりあげられたナイトゴーレムはどうしてる?」
「ああ、そうだったな」
俺の顔の話に話題が逸れていると気づいたアーバイルが、あらためて説明をはじめた。
「そのナイトゴーレムはプログラムを組み直して、彼女たちの村を守るガードマンとして活用しているそうだ」
「そうか」
「ただ、彼が、どうやってナイトゴーレムから大剣を奪いとったのかは、私もちゃんと訊いてなかったな」
と言って、アーバイルが俺のほうをむいた。
「どうやって、ナイトゴーレムから大剣をとりあげたんだね?」
俺は頭に手をあてた。背後にいたジャスミンが気づいたらしく、輪っかをずらす俺の前にまわってくる。
「どうやって、ナイトゴーレムから大剣をとりあげたのかって訊いてるわ」
「それは」
「○○○○」
俺が返事をしようとしたら、アーバイルが不思議そうに声をかけた。ジャスミンが気まずい顔になる。同時に、メアリーたちダークエルフが驚いた顔で俺を見た。
「言葉が通じるのになんで通訳するのか? だって」
ジャスミンがこっちをむいて、小声で俺に言ってきた。――そういえば、アーバイルには言ってなかったからな。頭の輪っかをはめなおすと同時にメアリーたちの言葉が日本語として聞こえてくる。
「言葉が通じるとはどういうことだ? この男、ここにきて四日目だか五日目だか言ってたはずだぞ」
「彼の、頭の、あの輪だよ」
アーバイルが平然とした表情で説明しはじめた。




