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「もちろん、内部のプログラムも同じになっている。つまり、このナイトゴーレムにできることは、各地方のナイトゴーレムにもできるし、このナイトゴーレムにできないことは、各地方のナイトゴーレムにもできないということだ。いろいろ確認する際に使用している」


 つまり、シミュレーション用ってことらしい。


「それでだな、昨日、ジャスミンに言われて、私も、慌てて近郊のナイトゴーレムに招集をかけたんだ。今日の夜には、一番近くに配備されていたナイトゴーレムがここに戻ってくるだろう。で、その間に、このナイトゴーレムを使用して、色々と実験をしてみたんだ」

「ふうん。そういうことをやってたんですか」

「ああ。それで判明したんだが、このナイトゴーレムは、どうやっても、君たちエルフを襲うようにはならなかった」


 アーバイルの言葉は想像どおりのものだった。ジャスミンが意外そうな顔をする。


「なんですって?」

「ドラゴンを出没しないから退治もできず、それで体内の魔力が減ってきたら、自動的にここまで戻ってきて、魔力を補給する。それに、ドラゴンの魔力を感知するまでは、基本的に配備された場所でスリープモードに入るからな。ドラゴンの代わりにエルフを襲って魔力を補給するはずがないんだ」

「――そんな。私、襲われかけたのに」


 ローズの言葉は当然のものだった。ジャスミンもうなずく。


「私たちは何度も危険な目に遭ってるの。必ずプログラムにミスがあるはずだから。それを見つけてください」


 ジャスミンの言葉に、アーバイルも困った顔をした。


「どのナイトゴーレムも、基本は同じプラグラムなんだ。このナイトゴーレムにミスがないということは、ほかのナイトゴーレムにもミスがないということになる。正常に起動するものを、それ以上修理することなんて不可能だよ」


 ジャスミンたちを襲ったナイトゴーレムだけ、どこかの誰かがプログラムに細工したって方向に話が進んでくれないかな、と俺は思った。俺の口からダークエルフの話をするのは気がひける。だから、みんなが気がつくように、もう一度アーバイルと話をするように、俺はジャスミンに提案したのだ。


「実は、前にも、同じ検査をしたことがあってな。そのときも、まったく同じ結果になった。だから私たちは、マーガレットが念話で言ってきた話を信用しなかったんだ。昨日は、ナイトゴーレムの大剣まで持ってきたから、さすがに信用したが、それでもおかしなところはなかったし」


 アーバイルがつづけて説明した。実際、ミスがないんだから、そう説明するしかなかったんだろう。

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