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「じゃ、Bも人間だから、私たちは、Bの言うことを、半分だけ聞いて、残り半分は聞かなくてもいいわけ?」
「え? あ、そうか」
これは困ったな。俺だけは特別に信じてくれって言うわけにもいかないし。――いや、言ってしまうか。
「あのな。俺は、ジャスミンたちに助けられたことがあって、それで恩を感じてる。だから、ジャスミンたちに嘘は吐かない。嘘を吐くのが好きなわけでもないしな。まあ、隠し事くらいはするかもだけど」
何しろ、ダークエルフがナイトゴーレムのプログラムを書き換えて、マーガレットの村を襲わせたことは言ってない。
「あと、何か言いたくないことがあったら、そのときは黙秘するということで。とにかく嘘は吐かないから。俺のことは信用してくれ」
「なんだかドワーフみたい」
俺の説明に、ジャスミンが眉をひそめた。――なるほど、まだ見てないが、サーバナイトにはドワーフもいるんだな、と俺は思った。それはいいとして。
「ドワーフみたいって、何がだ?」
わからないから質問したら、ジャスミンが肩をすくめた。
「嘘を吐くのが嫌いだとか、それでも言いたくないことがあるときは黙っちゃうとか、そういうところ。あいつらはそれが格好いいと思ってるみたいだけど、それって、要するに人づきあいがやサービス悪いってことでしょ?」
ジャスミンの説明に、俺はあきれた。
「あいつらって言い方はないだろう」
「じゃ、ほかになんて言えばいいの?」
「ドワーフって言えばいいんじゃないか?」
「だから最初に言ったでしょう? そいつらの話をしてるんだから、次からはあいつらでいいんじゃないの?」
またすごい返事をしてくる。ドワーフと言いたくもないらしい。
「ジャスミンたちはダークエルフとだけじゃなくて、ドワーフとも仲が悪いのか」
「べつに私から喧嘩をしようと思ってるわけじゃないわよ」
ジャスミンがむくれながら返事をした。
「でも、前にこの町で見たときは、あいつら、いきなり私をにらみつけてきて、その後、そっぽをむいて行っちゃったからね。村に帰ってママに聞いたら、あいつらはいつもそうだって言うし。むこうがそういう態度をとるなら、こっちから歩み寄る必要もないじゃない」
「ふうん」




