表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

83/145

83

「一応、この町の騎士みたいな、身なりのいい感じだったけどね。それで、私たちを見て、汚いものでも見るみたいな顔してたから」

「おまえたちも似たような顔をしてるぞ」


 俺は口をとがらせて言うジャスミンたちに忠告した。もう頭の輪っかは戻していいだろう。頭から手を離す俺の前で、それでもジャスミンが眉をひそめて話をつづける。


「Bは知らないのよ。黒いのが私たちに何をしてきたのか。大体、懐が広いみたいな顔をして、人間たちに愛想を振りまいて取り入って。それで、私たちのことを、気どって人間のことを蔑んでるから口を利くな、なんて言ってたんだって。ママたちが誤解を解くのにどれだけ苦労したか想像できる?」

「相手の悪口を言うときは、自分も同じくらい醜い顔をしている」


 俺が言ったら、ジャスミンが妙な顔をした。


「何それ?」

「俺の世界の言葉だ。あいつらのことを悪く言うジャスミンは美しくないぞ。これは顔だけの問題じゃない。だから、あんまりそういうことは、な?」

「――そうかもだけど」


 悔しそうにうつむくジャスミンを見ながら、俺は考えた。――おそらく、ダークエルフたちも似たような調子だったんだろう。


「白い連中はお高くとまって、なかなか人間の前に姿を見せず、演出で、わざと、必要以上に自分たちを神秘的に見せている。それで、ごくごくたまに姿を現しては、自分たちダークエルフのことを邪悪だ非道だのと言っている。自分たちが人間たちに積極的に接触して、誤解を解くのにどれだけ苦労したか」


 想像だが、話を聞いたら、たぶんこういうことを言ってくるはずだ。どっちの言ってることにも一理あって、どっちも面倒臭いというパターンである。こういうのは話し合いでなんとかできるレベルじゃない。目が合った瞬間に喧嘩になってもおかしくない状況のはずだ。お子様のローズがいなかったらどうなっていたか、俺には想像もつかなかった。


「とにかく、あんな連中がいるんじゃ、私はこの町にはいられないわ。今夜も泊まる予定だったけど、やっぱり帰りましょう」

「私も帰りたい」


 ジャスミンの言葉に、ローズも相槌を打った。まるで迷う様子がない。物心つく前から、そういう教育を受けてきた結果だろう。これはこれで考えものの事態だな。マーガレットには、ハーフエルフを差別するなと言っておいたが、さらにもう一段階、面倒そうなハードルが俺の前に立ちはだかったわけだ。

 これは異世界で無双するどころの話じゃないぞ。


「まあ、とりあえず、今夜は泊まって、明日、帰ろうか」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ