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「とりあえず、私たちは休憩するから。異常なしという報告もしなくちゃいけないし」


 話は終わったと判断したらしく、ダークエルフのひとりがメイドに言った。


「そっちの黄色い人間は、もう帰るんだな? ちゃんと入口までつれていってやれ」

「かしこまりました」


 と、メイドが返事をしたところを見ると、これはサーバナイト語だったのだろう。そのままメイドが俺のほうをむく。


「言葉は通じないでしょうが、用はお済みだと思いますので、入口までご案内します」


 言って、背をむけて歩きだした。


「黄色い肌だからと言ってどうこう言う気はないが、白いのと仲良くしてるって言うなら、私たちとは交流はできないな。またナイトゴーレムのプログラムをいじって、あいつも攻撃させてしまうか?」

「いや、しばらくはおとなしくしておかないとまずいだろう。どうせ100年も経てば、あいつは寿命がきて死ぬ」

「そうか。じゃ、白い連中を追いだすのは、それからだな」


 背後からダークエルフたちの会話が聞こえてきた。メイドが振りむかないから、これもダークエルフ語だな。それにしてもすごい話を聞いてしまった。そういえば、俺がいた元の世界でも、肌の色が違うだけで戦争を起こす連中はいたっけ。こっちがそうじゃないという保証など、どこにもなかったのである。

 いま、俺はそれを耳にした。


「B様、こちらが入口です」


 考えていたら、メイドが立ち止まって俺のほうを振りかえった。見ると、確かに、最初、俺たちがきた受け付けがあり、扉がある。広い建物だったからな。メイドの案内がなかったら迷子になっているところだった。


「じゃあな」


 俺は頭の輪っかをずらしながらメイドに言い、そのまま建物をでた。ジャスミンとローズが待っている。

 なんだか、ふたりとも、えらく不機嫌そうな顔をしていた。


「お帰りなさい。早く行くわよ」

「おう。――それはいいけど、何かあったのか?」

「どうしてそう思うの?」

「どうしてって、ふたりとも、怒ってるみたいな顔をしてるからだ」

「黒いのがきたんだよ」

「そうそう」


 これはローズの説明と、ジャスミンの相槌だった。

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