表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

77/145

77

「俺たち、これ以上ここにいていいのかな? 帰ったほうがよくね?」


 俺の口からでてきた言葉は日本語のはずだ。それを聞いたジャスミンが、少し考える。


「そうね。でていったほうがいいかも。あんまり空気よくないかもだし」


 日本語で俺に言ってから、ジャスミンがミーリアのほうをむいた。俺は俺で、頭をかく仕草をしながら輪っかをはめる。


「あの、すみません。とりあえず、今日のところは、これで帰りますから。今晩、とりあえずンこの町の宿で泊まって、明日の朝、立ちます」

「そうか。わかった。妹の非礼は、私が代わりに謝罪しよう」


 サーバナイト語で言うジャスミンに、ミーリアが返事をした。


「言い訳をさせてもらうが、妹は、私よりも血筋や伝統を重く見る性格でな。よく言えば潔癖症、悪く言えば古い考えで固まっているところがあるんだ」


 姉よりも妹のほうが考えが古臭い、か。まあ、そういうこともあるだろう。俺は紅茶を飲みながら、ミーリアの説明を聞くことにした。


「だから、父や母、祖父や祖母と言った、家柄に関係してくることで何か言われると、ああいう態度をとってしまうんだ。あとでよく言っておく」

「私は気にしてません」

「私も」


 ジャスミンの言葉にローズも手をあげた。俺もうなずき――かけて、慌てて紅茶を飲み干した。ごくん。こちらの言葉は、俺には通じないという態度をとった以上、最後までそれで演じきるしかない。


「それじゃ、私たち、帰ります」


 言ってジャスミンが立ちあがった。ローズも。それにつられて俺も立つと、ジャスミンの向かいに座っていたミーリアも立ち上がった。


「レイリアは君たちを嫌っていたわけではない。それはわかってほしい」

「わかります。もちろん、Bもそうだと思いますから」


 言い、ジャスミンが俺のほうをむいて、ちょっと笑いかけた。俺も笑い返す。


「ほら、怒ってませんし」


 ジャスミンが言って、ローズの手をひき、ミーリアたちに膝を軽く曲げるあいさつをしてから歩きだした。俺もつづく。例によって、頭をかきながらだ。人差し指と親指で軽く輪っかを外しながら、口を開く。


「ちょっと待ってくれ、ジャスミン」


 日本語で話しかけたら、なんだって表情でジャスミンが振りむいた。


「どうしたの? これから帰るんじゃなかったの? Bが言ったんじゃない」

「あ、そうなんだけど、それがその」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ