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「だから、森に住むという、昔からの伝統を重んじてきたエルフが珍しくてな。そのようなエルフが、何の用があって町にきたのか、できれば理由を知りたいんだ。もちろん、言いたくなければ、秘密にしてくれてもかまわないのだが」

「あ、そういえば、説明してませんでしたね」

「まあ、とりあえずこっちへ。立ち話もなんだ」


 ミーリアが言い、ジャスミンをテーブルのある所へ招いて行った。当然ながら、俺とローズもついていくことになる。


「あの小さい娘もエルフなのよね」

「かわいらしい。姉妹なのかしら」

「私はローズと言います。ジャスミンとは親戚です」


 ほかの女騎士――だと思う。いまはみんな私服で甲冑を着ていないから断定できない――の言葉に、俺の横を歩くローズが返事をした。なんとなく誇らしげである。かわいいと言われたのが嬉しいらしい。やはり10歳でも女の子なんだな、と俺は感心した。


「まずはお茶でも」


 ジャスミンたちと一緒に椅子に座ると、メイドがお茶を持ってきた。イギリスのお茶会って、こんな感じなのかもしれない。とりあえず黙って見ていたら目の前にお茶がきたので、俺は飲むことにした。俺の向かいに座ったレイリアが少し不思議そうにする。


「Bは砂糖を入れないのかな」

《俺はいらないから》


 と、あぶなく返事をするところだった。口のなかに紅茶が入っててしゃべれなくてホッとしたぜ。ティータイムだからってリラックスは禁物らしい。とりあえず無表情に徹しながら俺はティーカップを口から離した。ジャスミンを見る。


「砂糖は必要か、だって」


 俺は手を左右に振った。ジャスミンがうなずいてミーリアのほうをむく。


「このままでいいそうです」

「そうか。やはり男というのは甘いものを好まんのだな」


 俺の横では、ローズが紅茶に砂糖をザラザラ入れていた。こっちはこっちで極端だな。やはり10歳でも女の子なんだろう。

 ほかの女性たちもクッキーみたいなのをつまみながらお茶を飲みだす。あちこちで雑談みたいなのがはじまった。今日はオフらしい。


「それで、ここにきた理由なんですけど」


 ジャスミンも紅茶を飲み、正面に座っているミーリアに事情を説明しはじめた。ミーリアもうなずいてジャスミンを見る。


「実は、ここでつくられた、ナイトゴーレムという兵器がありますよね?」

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