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「なるほど、ここでジャスミンたちは戦う訓練をしているわけか」


 部分的に、おそらく、格闘技ジム的な場所がつくられて、そこで殴る蹴るをやっているんだなと俺は考えた。あとは外にでて走りこみとか。騎士団と言う以上は軍隊訓練なんだから、どこかべつの場所で、でかい模擬戦もやっているかもしれない。


「それで、レイリアたちにも、もうBが私たちの言葉がわかるっていうことは」

「やっぱり秘密で頼む。念のためだ」

「わかったわ」


 俺たちは建物のなかに入った。


「すみません、私、ジャスミンと言います。この娘はローズで、隣に立っている男はB。騎士レイリアと会う約束をしていたんですが」


 ジャスミンが受け付けで事情を説明した。受け付け嬢が、ちらっと俺を見て、あらためてジャスミンのほうをむいた。


「話は聞いていました。黄色い肌とは思ってませんでしたが。彼、言葉は通じますか?」

「Bはこっちにきて、まだ四日目です」


 嘘を吐きたくなかったのか、ジャスミンは、むこうが勝手に誤解するような返事をした。うまいことやるもんだな。表情にださないようにしながら感心していたら、受け付け嬢が机の上に、うつぶせに置かれていた金属のコップをとった。ちりんちりんと澄んだ音がする。コップじゃなくてベルの一種だったらしい。少しして、メイドが廊下のむこうからやってきた。


「お待たせしました。B様」


 俺じゃなくてジャスミンに言ってくる。ジャスミンが苦笑して手を左右に振った。


「私の名前はジャスミンです。Bはこっち」

「あ、そうでしたか。これは失礼を」


 メイドが、ちょっと驚いたように言ってから、なんとなく、困ったような顔で俺を見た。俺が男だから警戒しているのではなく、肌の色が違うから、頭を下げたくないらしい。ま、仕方のないことだ。


「では、あらためまして、B様、ジャスミン様、こちらです」


 それでも、一応は形式上の、膝を曲げるあいさつの形をとり、メイドが背をむけて歩きだした。


「ついてきてほしいそうよ」


 言葉が通じないふりをしている俺にジャスミンが日本語で俺に言い、ローズの手をひいて歩きだした。少し廊下を歩いて、角を曲がると、なんだか大きい扉があった。


「失礼します」


 メイドが言い、扉をあけた。扉のむこうは大広間である。女性ばかりが20人ほどいて、一斉にこっちを見た。

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