表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

61/145

61

「それは仕方がないでしょう。ローズがむこうの世界の言葉を学ぶのは来年からだったし」


 ジャスミンが言う。――俺がいた世界では小学校でも英語を教えていたが、似たような教育制度はこっちにもあるんだろう。


「じゃ、行きましょう。アーバイル、あとのことはよろしくね」

「任せておきなさい。それから、またこちらからうかがうこともあるから、そのときは、魔術の指導を、ぜひ」

「ママに言っておくわ」


 言ってジャスミンがローズの手をとって歩きだした。俺もそれにつづく。


「これで、ナイトゴーレムが暴走して、ジャスミンたちに襲いかかってくる危険はなくなるわけか」

「10年くらいかかるって言ってたけど。その間にまたべつのナイトゴーレムがきたら、そのときはお願いね」

「おう」


 それでも、俺はジャスミンたちの用心棒ということで必要になるらしい。まあ、はいさようならよりはよっぽどましか。考えながら俺たちはエレベーターに乗った。


「すると、俺は武器が欲しいかな」


 なんとなくつぶやいてみる。前のときは、ナイトゴーレムが持っていた大剣を奪いとって反撃できたが、いつもうまく行くとは限らない。いや、普通の武器でナイトゴーレムを傷つけらるとも思えないし、持ってても意味はないか。考えている俺のほうをジャスミンがむく。


「誰かを傷つけたいの?」

「あ、そういうことじゃなくて。いざというときに、自分の身を守りたいんだ」

「そのときは獣化すればいいんじゃない?」

「――それもそうだな」


 竜殺しの武器を背負って颯爽と世界を歩きまわる、なんてのは俺のキャラじゃないらしい。エレベーターが地上へ到着し、俺たちは外へでた。

 魔法庁をでて町のなかを歩くと、いままでとは違って、すべての言葉が理解できた。


「いらっしゃいませ」

「今日のトマトはいつも以上に新鮮だよ」

「お姉ちゃん、何か買っていくかね」

「おい、あいつ見ろよ。肌が黄色いぞ」

「むこうからきたんだろ」

「ドラえもん」


 俺は最後の言葉を投げかけてきた奴に苦笑しながら手を振った。ジャスミンも隣で苦笑する。


「どう? 言葉がわかる感じって」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ