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「ただで進呈しよう」


 ジャスミンが言うのを遮り、アーバイルが笑顔で言った。これはまた太っ腹な。


「いいのか? 高いんだろ?」

「どうせ試作品だ。そもそも売り物にならんし、商品化するときはデザインも変わるからな」

「へえ。まあ、ただでもらえるならありがたいけど」


 すると、俺は一般にはでまわらない、プロトタイプのレアな翻訳機をゲットしたわけか。その筋のコレクターが訊いたらうらやましがるかもしれない。


「それにしても、なんでまた?」

「君が――名前はBだったな。彼女たちの友人だからだよ」


 不思議に思って訊いたら、アーバイルがジャスミンに目をむけながら返事をした。


「彼女たちエルフ族の魔道技術は素晴らしいものがある。我々はそれを学びとりたいのだ。つまり、今後とも有益な関係を築いていきたい。ならば、彼女たちの友人にも親切にするべきだ。そういう判断で行動したんだよ」

「――あー、なるほどね」


 要するに、金持ちに友達面して群がってくるハイエナの理論か。ちょっと残念だったかも。考えが顔にでたのか、アーバイルが妙な表情をした。


「何かおかしいことを言ったかね?」

「いやべつに。正直だなーと思っただけだ」


 まあ、打算なしの行動ってのは、あんまりないからな。それはいいとして。


「ジャスミンたちは、こういうのをつくらなかったのか?」


 俺は頭の輪っかを指さしながら訊いてみた。ジャスミンが笑って手を左右に振る。


「こんなものがあるなんて、私もはじめて知ったから。――そうね。つくろうと思ったら、つくれたかも」

「じゃ、なんてつくらなかったんだよ?」

「つくる必要がなかったからよ。べつの世界の言葉だって、ゆっくり学んでいけば、そのうち話せるようになるから」

「あ、そうか」


 エルフは時間があるからな。100 年くらいかけて学習できるから、魔道具の開発は考えなかったってことか。――そういえば、インド人は暗算に無茶苦茶強いが、コンピューターを発明したのはアメリカ人だったな。そういう違いなんだろう。


「それにしても、まさかナイトゴーレムのプログラムに欠陥があったとは」


 考えていたら、アーバイルが渋い顔をして自分の顎を撫でた。ようやく本題か。


「マーガレットから念話で聞かされていたが、とても信じられなくてな。いや、いままですまなかった」

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