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 ジャスミンがわからないんなら仕方がない。しばらく待っていたら、アーバイルが戻ってきた、なんでか嬉々とした表情である。


「○○○○」


 言いながら俺に右手を差しだしてくる。なんだか、丸い輪っかを持っていた。


「○○○○」

「これを頭にはめてほしいって言ってるわよ」

「へえ?」


 訳がわからないまま、俺は受けとった。王様がかぶる冠くらいのサイズである。いや現物を見たことなんてないが。そういえば、孫悟空――ドラゴンボールじゃなく西遊記のほう――も、こんなのをつけてたっけ。


「まさか、これを頭につけたら無茶苦茶締めつけてくるなんてことはないよな?」


 ちょっとビビりながらジャスミンに訊いてみた。ジャスミンがアーバイルのほうをむく。


「○○○○」

「○○○○」

「拷問の道具じゃない。とにかく頭にはめてほしいって」

「ふうん。じゃ、信用するか」


 本当にいざとなったら俺のパワーでぶっ壊せばいい。とりあえず、前も後ろも上も下もない、なんの荘重もない、ただの輪っかということを確認してから、俺はその輪っかを頭にはめてみた。同時にアーバイルが俺に右手をむけてくる。


「なんだ?」

「○○○○」


 妙に思っていたら、アーバイルが何事かつぶやきだした。なんとなくだが、サーバナイト語のイントネーションではない。――どう言ったらいいのか、英語も中国語も俺には理解不能だが、聞いていて、違うのはわかる。それと同じだ。エレベーターを降りるときにジャスミンが声にだしたのと同じ、何か違う世界の言葉をアーバイルは声にだしていた。

 同時に、俺の頭と顎から頬にかけて、妙な力が走ったような気がした。


「私の言っていることがわかるかね」


 いまのは何だったんだろうな、と思っていた俺の前でアーバイルが言った。うわ! 理解できるぞ!!


「わかる! どうなってるんだ!?」


 と言ってから、俺は口を押えた。なんだこの感覚。――いま、俺は日本語で「わかる」と言おうとしたのに、口と頬は勝手に違う動きをして、違う声をだしたのだ。


「私も、君の言葉が理解できたよ」


 アーバイルが笑顔で返事をした。

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