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「○○○○」


 しばらく工場の通路を歩いていたら、むこうからサーバナイト語で呼びかけながら、白髪のナイスミドルが歩いてきた。一般で言う魔法使いのような格好だが、服装は純白。科学者の白衣みたいな感じも、少しだけした。


「ここでサーバナイトの設計をしている責任者よ。名前はアーバイルだったかしら。もうママから念話でナイトゴーレムが暴走したって話は聞いてるはずなんだけど」


 ジャスミンが小声で俺に言ってきた。


「そうか。じゃ、あとは任せるから」


 俺は返事をして、背負っていたナイトゴーレムの剣を床に置いた。ゴトン。これからはジャスミンとアーバイルの間で交渉してもらえればいい。――そう思っていたんだが。


「○○○○!」


 俺の置いたナイトゴーレムの剣を見たアーバイルが、なんでか驚いた顔で俺とジャスミンを交互に見た。


「○○○○」

「○○○○」


 アーバイルがジャスミンと少し話して、俺のほうをむいた。


「サザエさん」

「ちびまる子ちゃん」


 面倒なので省略して返事をしたら、アーバイルがまたもやジャスミンのほうをむいた。


「○○○○」

「○○○○」


 何やら言って背をむける。そのまま小走りで行ってしまった。俺は、べつに何かおかしなことをしたつもりはなかったんだが。


「あのな? いま、何を話してたんだ?」

「ナイトゴーレムの剣を持って歩けるなんて、普通の人間じゃない。この黄色い肌の人間は特殊なホムンクルスかって訊いてきたのよ」


 不思議に思ってジャスミンに質問したら、なるほど納得のいく返事がきた。普通の奴はこんなもの持ち歩けない。


「それで私、彼の名前はBで、日本からきた人間だ。獣化症で怪力だから、この剣を持ちあげられるんだって返事をしたわけ。そうしたら」

「サザエさん、か。なるほどな」


 この街じゃ、どこでもそうらしい。それはいいとして。


「なんで行っちまったんだ?」

「ちょっと待っててほしいって言ってたわね。私もよくわからないんだけど」

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