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俺はローズに背中をむけながら膝をついた。柔らかくて暖かい感触が背中におぶさってくる。俺はローズを背負いあげ、軽く揺らしながらジャスミンが戻ってくるのを待つことにした。
それでうまく行くだろうと思っていたが、そうでもなかった。
「○○○○!」
背中のローズが寝息を立てはじめた直後に、俺に声をかけてくる人間があらわれたのだ。
しかも女性である。金髪に青い目。身長は俺より少し低いくらいだから、170センチ前後か。服装からするに、それなりの地位にいるお人のようだった。少なくとも、難癖つけてくるチンピラには見えない。
そういう人も、こういうところで飲むんだな。と思ってる俺に金髪女性が話しかけてきた。
「○○○○!」
なんか、敵意があるような声音である。
「あの、ごめん。俺、言葉わからないから。それにローズも寝てるから、静かにしてくれないか」
仕方がないから日本語で返事をしたら、金髪の女性が妙な顔をした。つづけて口を開く。
「○○○○!」
「いや、だから、わからないって。無理無理」
俺の返事に、金髪の女性が少し考えるようなそぶりを見せた。あらためて俺をにらみつける。
「テンアンモン!」
「なんだそれ?」
「サザエさん!」
「それはわかる」
俺はニヤっと笑ってみせた。女性が納得したような顔になる。そっちが納得したような顔をされても、俺には訳がわからない。
「あの、少ししたら、ジャスミンっていう、言葉の通じるエルフがくるから」
言ってる最中、まさに俺の視界の隅で、ジャスミンが近づいてきた。ありがたい。
「お待たせ。二部屋借りたから――」
笑顔でジャスミンが言いかけ、俺の前にいる女性に気づいたらしい。
「どうしたの?」
「俺に訊かれても説明できない。そっちに訊いてくれ」
「あ、そうだったわね。ちょっと待ってて」
ということで、金髪女性とジャスミンの間での会話がはじまった。ときどき、こっちに通訳がくる。
「B、あなた、人さらいだと思われたみたい」
「は?」




