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「いま、サーバなんとかって言ったよな? この国の名前だって」
「サーバナイト。確かに、この国の名前だけど? それとも、村の名前を言ったほうがよかった?」
「いや、そういうのはあとで聞く」
俺は少し考えた。――ナイトオンラインサーバー? ここは電脳世界なのか? 少なくとも、地理の授業で、そんな名前の国は聞いたことがない。
「あの、サーバナイトって言うのは」
「日本のある地球とは違う世界の国」
あっさりと美少女が返事をした。笑顔である。ずいぶんと余裕だな。それはともかく、俺の身に何が起こったのかは、大体の想像がついた。こういうパターンが本当にあるとは。
「えーと、いくつか質問をしていいかな」
美少女が笑顔のままうなずいた。
「答えられることなら」
「ありがとう。じゃ、まず、第一の質問。俺は日本という国からきた。君たちからすれば異世界だ」
「私たちから見れば、日本が異世界だけど」
「まあ、そうなんだけど。――それはいいとして、なんで驚かないんだ?」
「前にも同じことがあったから」
「あ、なるほどな。先輩がいらっしゃったわけか」
ということは、その先輩に話を聞くほうが早そうだな。
「その先輩というのは、いまどこにいるんだ?」
「天国で休憩中」
あ、だめだこりゃ。
「じゃ、さらに質問。その先輩は、何か悪い奴に襲われて命を落としたのか?」
「時間がきたからよ。100年くらい前の話だってママも言ってたし」
「ふうん」
返事をしてから、俺は、あらためて美少女を見つめた。ふわふわカールした金髪の隙間から、少しだけ耳がのぞいている。
ずいぶんと尖っていた。
「あの」
「言っておきますけど、私は16歳ですからね」
美少女がいたずらっぽく言う。そういうことか。
「森の貴族様に会えて、俺も光栄だよ」
さて、どうしたもんかな、と俺は考えた。