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 居間に戻ったら、ジャスミンが楽しそうに訊いてきた。なんとなく、はしゃいでるようにも見える。まあ、旅行の直前だからな。興奮もするだろう。


「俺自身は問題ない。ただ、事前の用意で、何を持って行ったらいいのかがわからないんだけど」


 普通の旅行なら、酔い止めの薬とか着替えとか必要になるはずだ。考えている俺の前で、ジャスミンが笑顔で手を振った。


「何も持って行かなくていいから。こっちで用意したから。服もそれでいいし」

「あ、そうなんだ」


 着替えも、もう用意してあるってことなんだろう。そのままジャスミンにうながされ、俺はマーガレットの家をでた。外ではローズと、たぶん、その両親らしいエルフが待っている。


「B! ジャスミン! ○○○○!」

「ええ、もう用意はできたわ。じゃ、行くわよ」


 自国の言葉で話すローズに、日本語で返すジャスミンだった。なるほど、つまりローズは、ヒアリングはできてもスピーキングが苦手なんだな。お子様らしい、と思っていた俺に、ローズの両親が近づいてきた。


「確か、名前はBでしたね?」

「え? ああ、はい」

「どうか、ローズのことをお願いします」


 ふたりして俺に頭を下げるローズの両親だった。日本的だな。こういう文化もこっちに浸透しているらしい。それはいいけど責任重大である。


「あの、頭をあげてください。とりあえず、ローズの面倒は、できるだけ、俺とジャスミンで見ますから。――それはいいけど、ご両親もローズと一緒に都へ行ったりはしないんですか?」

「農作業がありまして、どうしても離れられないのです」


 頭をあげて、ローズの父親が説明した。あ、そうか。こういうところで、俺たちの世界にはない不都合がでてくるわけだな。


「じゃあ、ローズみたいな小さい子を、都へ行かせるのはいいんですか?」

「我々の村では、十歳になったら、ひとりで行動させるものなのです」


 また文化の違いがきた。そういえば、日本でも、大昔は十代で元服だったっけ。まあ、これは仕方がない。


「するとジャスミンは、もう婚期を逃してるってことか」


 なんとなく言ったら、ローズと楽しそうに話していたジャスミンがむっとした顔でこっちを見た。


「そんなんじゃありません! 100歳を超えてから結婚した親戚もいます!!」

「あ、これは失礼」

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