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「ほかのナイトゴーレムが、またわたくしたちの村にきたときのために、護衛として使役するのです」

「あ、なるほどね」


 そういえば、俺が都へ行っている間、べつのナイトゴーレムがきたらどうするんだと質問したら、何か策があるような返事をしていたっけ。それがこれか。


「もちろん、正規のナイトゴーレムと正面から戦ったら勝つことはできないでしょうが、わたくしたちが逃げるための時間稼ぎにはなってくれるでしょう」

「まあ、リサイクル品なんだから、そのへんは限界があるだろうな。――ところで、昨日まで持っていた、あのでっかい剣はどうしたんだ?」


 あれを振りまわすパワーもないとしたら、戦う以前の問題だ。ちょっと心配して訊いたんだが、マーガレットは笑顔のままだった。


「あの大剣は馬車に積みました。あれを都まで持って行けば、暴走したナイトゴーレムが、わたくしたちの村までやってきたことの証拠になりますので」

「あ、そうか。そういうふうに使うわけね。――剣なしで、剣を持ったナイトゴーレムと戦えるのか?」

「真剣白刃どりができるようにプログラムしましたので」


 余裕の表情でこたえるマーガレットだった。


「真剣白刃どりか。――まあ、リアルで人間がやるには無理があるだろうけど、マシンなら可能かもな。というか、マーガレットさんすごいねえ」

「私のママって、村で一番魔法がうまいのよ」


 俺の横でジャスミンが誇らしげに言う。ほかの住民もマーガレットには敬意を払っていたが、その理由がわかった。マーガレットはなんでも知ってる博士キャラだったわけだ。


「で? 今日、都にむかって俺たちは旅立つわけだけど、それは朝飯を食べてからか?」


 さっき投げ捨てた歯ブラシを拾いあげ、俺はマーガレットとジャスミンの顔を交互に見ながら訊いた。ジャスミンが苦笑する。


「もちろん、朝ご飯を食べてからよ。これからしばらく、普段の食事はできなくなるからね。ちゃんと味わっておかないと」


 ということで、俺たちは水飲み場から、マーガレットの家まで戻った。料理を手伝うつもりで台所まで行ったら


「男がくるところじゃないから」


 こんな返事がきた。このへんは文化の違いだな。仕方がないから居間で少し待っていると、ジャスミンとマーガレットが皿を運んでくる。でてきたのは、昨夜とほぼ同じ食事だった。フィッシュアンドチップス、野菜サラダ、それから食パンみたいなのと、よくわからない肉。イノシシのベーコンか何かだろう。

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