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 ジャスミンの声&ノックの音で俺は目を覚ました。植物性の食事だったおかげで、食ってすぐ寝たのに胃もたれはない。そういえば歯を磨かなかったな。歯ブラシもこっちの世界にあるといいんだが。ぜいたくなことを考えながら、俺はベッドから起きた、扉をあけてみる。

 天使みたいな美貌のジャスミンが笑顔で俺を見あげていた。そのまま俺の胸元へ視線を変え、ちょっと眉をひそめる。


「まだ着替えてなかったの?」

「あ、悪い。えーと、昼間のための服は」

「そこ」


 ジャスミンが指さすほうを見ると、壁にハンガーがかかって、そこに服があった。もちろん、すべて手縫いの、世界で一品だけのものだろう。というか、ハンガーまであるのか。俺たちの世界でハンガーの発明がいつごろかはさすがに知らないが、サーバナイトって国は、かなり現代テイストに染まっていると考えてよさそうだった。


「あとはトイレにウオッシュレットがあれば言うことないんだけどな」

「あるに決まってるじゃない」


 なんとなくつぶやいたら、ジャスミンがすごい返事をした。驚いて振りむくと、なんだかいたずらっぽく笑って俺を見ている。


「早く着替えてね。外で待ってるから」


 言ってジャスミンが、パタンと扉をしめた。


「――まあ、とりあえず、服を着替えるか」


 そういえば、昨日はナイトゴーレムをぶっ壊して、あとはこの世界の設定の説明と言うか、そういうのを聞いて、それだけだったんだよな。実際に世界を目にして、いろいろ驚くのはこれからか。俺は覚悟を決めて服を脱いだ。背中の痛みはない。昨日の骨折は、もう治っているようだった。これは特別に驚くことでもないだろう。俺は獣人類だ。


「さてと、この服は――」


 俺はパンツ一丁になってから、ハンガーにかかってる服に手を伸ばした。ずいぶんとゴワゴワしているが、これが自然素材というものなんだろう。形状は、ワイシャツに似ている。これなら着る方法を教わらなくてもなんとかなる。

 つづいてズボンにも足を通し、俺は昨日のエルフたちと同じ服装になった。


「着替えたぞ」


 言いながら俺が扉をあけたら、すぐ外でジャスミンが待っていた。


「じゃ、行きましょう」

「朝飯か?」

「その前に、洗面と歯磨きでしょ?」

「あ、やっぱりあるのか」

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