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「ただ、あんな巨大な剣を振りまわせるものなど、わたくしの村にはおりませんでした。そもそも、ナイトゴーレムから剣を奪うことさえ、至難の技でしたので」

「――ああ、そりゃそうだろうな」


 エルフは魔法に秀でているが、腕力は大したことないって、どこかで聞いた記憶がある。ゲームの世界の設定だろうと思っていたんだが、本当だったのか。――いや、違うな。俺は考え直した。あれは、ぶっちゃけるなら巨大ロボット用の剣だ。人間のボディビルダーだって持ちあげるのに苦労するはずである。俺がなんとか振りまわしてのけたのは、俺が獣人類だったからなのだ。


「それは剣というにはあまりに大きすぎた、か」


 日本で見た漫画のセリフを、俺はなんとなくつぶやいてみた。マーガレットが怪訝な顔をする。


「それはなんでしょうか?」

「気にしなくていい。じゃ、第三の質問と行こうか。――誰かが、俺を見て、すごい魔力だとか言っていた。どういうことだ?」


 俺は魔法なんか使えない。エルフの目から見れば、魔力を測定できるってのは、さっきのドラゴンが燃えさかる太陽的な会話でわかったが。というか、俺には魔法使いの才能でもあるんだろうか?

 考える俺の前で、マーガレットが苦笑した。


「だって、変身したじゃない」


 これはマーガレットじゃなくて、横に座っていたジャスミンの言葉である。あらためて振りむくと、ジャスミンの目は、希望を見る輝きから好奇の視線に変化していた。


「私たちだってできないわ。あんな、正当な手順で魔力を増幅させることもしないで変身するなんて」

「言ってることがよくわからないんですけど」

「あなた方の世界では、獣化症と言うそうですね」


 困って質問したら、マーガレットが説明してくれた。ありがたい。説明というのは、いろいろ経験して、わかっている相手から聞くべきだ。


「獣化症がなんだって?」

「あれは、内からみなぎる魔力によって起こるのです」


 マーガレットの言葉は、俺の想像の域を逸していた。


「突然変異と言ったらいいのでしょうか。ごくまれに、人間のなかに、わたくしたちよりも、はるかに高い魔力を持ったものが生まれるのです。その者が、魔導士として正当な教育を受け、内なる魔力を効率よく使うことができれば、その者は素晴らしき魔道士として後世に名を残すことでしょう」

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