表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

137/145

137

「もらうのって、騎士の位かな」

「その程度で済むはずないだろう。爵位に決まってる」

「言葉も通じない奴が爵位なんてもらえるわけないだろう。せいぜい金をもらって、はいさようならってところだな」

「俺は言葉わかるぞ」


 仕方がないから言ったら、周囲がギョッという顔をした。


「なんだ? 昨日は何もしゃべらなかったのに」

「言葉が通じないふりをしていただけだったのか?」

「そうじゃない、これだ」


 俺は自分の頭の輪っかを指さした。


「昨日、これを偉い人からプレゼントしてもらってな。それで通訳してもらってるんだ」


 俺の説明に、隣にいたジャスミンが不思議そうな顔をして見あげてきた。


「B、そのこと、もうしゃべっちゃっていいの?」

「ドラゴン倒してじろじろ見られて、これ以上誤魔化すのは無理だ。いままで騙してた、なんて言ってくる奴も居そうだし」


 言って俺は食堂のなかを見た。みんな静かになって俺を見ている。もう適当なことは言えないと判断したらしい。昨日までとは違って、何か言ったら俺には通じることがわかったらこうか。ま、仕方がない。


「飯にしよう。焼き魚とご飯を頼む。あと、味噌汁――はさすがにないか。何か、適当に野菜の入ったスープを」

「はい。ただいま!」


 あわてたようにウェイトレスがうなずいて、厨まで小走りに駆けていった。テーブルにつき、食事を待つ。その間も周囲の視線がすごかった。というか、目の前に座っているジャスミンとローズも、なんだか不思議そうに俺を見ている。


「昨日も、この宿にいたのに。そんなに俺って珍しいか?」

「そりゃ、珍しいわよ。ドラゴンスレイヤーなんて、私もはじめて見たし」


 あ、そうか。


「そういうのは、確かに珍しいかもな。ドラゴンもドラゴンスレイヤーも、俺もはじめて見たし」

「あの、あちらの客様からのサービスです」

「はん?」


 顔をあげると、さっきとは違うウェイトレスがビンとコップを持っていた。その少し後ろにいた客が笑顔で手を振っている。


「ドラゴンスレイヤーに!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ