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「こいつら、しゃべれたのか」


 プログラムを書き換えられて、暴走した奴しか知らなかったから、しゃべれないものだと勝手に思いこんでいた。というか、これはかなり優秀なマシンだな。元の世界でも二足歩行のロボットやAIはあったが、これほどのレベルじゃなかった。


「隊長殿!」


 考えていたら、ナイトゴーレムのひとりが急に背をむけた。ほかのナイトゴーレムが手を休めて近づいてくる。――よく見たら、頭に角と言ったらいいのか、ニワトリのトサカみたいなのがついている。

 なるほど、隊長か。


「ナンダ?」

「アソコニ、どらごんトハ異ナル生キ物ガオリマス! イカガイタシマショウ!?」


 言いながら、角のないほうのナイトゴーレムが俺を指さした。


「フム?」


 隊長のナイトゴーレムが俺に目をむけた。


「人間トハ違ウヨウダナ。どらごんニ寄生シテイタ小動物ダロウ」

「おい、何を言ってるんだ。俺は――」


 言い返そうとし、俺は気づいた。いまの俺は獣化していて毛むくじゃらである。これじゃ、確かに人間には見えないはずだ。勘違いされても仕方がない。


「チョット待テ」


 言って隊長のナイトゴーレムが、少しの間動きをとめた。まるで考えてるみたいだが、たぶん通信で、アーバイルの工場とリンクして行動基本を確認したとか、そういうことをやってたんだと思う。


「ワカッタ。人間ノ脅威ニナッテハマズイカラナ。殺シテシマエ」

「了解シマシタ!」


 とんでもない命令を隊長ナイトゴーレムが言ってきた。部下も部下で了解するんじゃない。俺は街の住人をぶっ殺そうとしていたドラゴンを地上に落下させた英雄だぞ? いや英雄は言い過ぎかもしれんけど。考えてる俺の前で、複数のナイトゴーレムがドラゴンの身体をよじ登ってくる。表情なんかわかるわけもないが、俺を処分する気なのは明白だった。


「ちょっと待ってくれよヤバいぞ――」


俺は獣化を解きながら背後をむいた。げ。背後からもナイトゴーレムがドラゴンの身体をよじ登ってこっちへきている。俺の獣化は狼や熊に近いもので、羽ばたいて飛べるわけではない。というか、人間じゃないと思われてるから狙われてるのだ。早く人間に戻るしかない。顔をこすって獣毛を振り払い、なんとか人間の姿らしくなったと思ったんだが、近づいてくるナイトゴーレムの動きは変わらなかった。

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