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「ドラゴンがでた。そのドラゴンに対抗できるナイトゴーレムをつくった。そのナイトゴーレムを倒した俺。だから戦力として投入した。――まあ、筋としては通るだろう。そして、このあと、残念ながら俺は死んだ。こういうことになれば、ナイトゴーレムのプログラムを書き換えた犯人が誰かを知る者はいなくなる。つまりは口封じだ。そういう目的で、おまえは俺をワイバーンに乗せた。そうじゃないと証明できるか?」


 風の唸るなか、それでも俺は冷ややかに訊いた。少ししてメアリーが振りむく。顔が藩笑いだが、目には怯えの感情が宿っていた。口元も震えている。冗談で笑っているわけじゃないだろう。これは作戦を見抜かれた人間の、誤魔化しの笑いだった。


「ばばば馬鹿を言うな。騎士の私がそんなことを考えるわけがないだろう。何か証拠でもあるのか?」

「証拠なんてないな。ま、いいさ。俺が死んだら、預けた手紙をあけてもらうように、アーバイルには言ってあるからな」


 こうなったらハッタリでなんとかする作戦しかない。俺の大嘘を聞いたメアリーが目を見開いた。


「貴様、誰にも言ってないと言っていたではないか!?」

「だから誰にも言ってない。文書を残しただけだ。生きていく以上、保険はかけておくものだ。間違ったことを言ってるか?」


 俺の質問に、メアリーが表情から笑みすら消した。


「――もういい! とにかく振り落とされるなよ!」


 そのままメアリーが俺に怒鳴りつけ、やけくそ気味に前方をむいた。


「こんなことなら、ワイバーンに乗せるんじゃなかった!」

「何!? よく聞こえなかった! もっと大きい声で頼む!!」

「べつにどうでもいい独り言だ!」


 今度はメアリーがすっとぼけ、ワイバーンをあやつる手綱を振るった。ぐん、とスピードの増すワイバーンの横で、慌てたように、ミーリアたちのワイバーンも加速をはじめる。


「速すぎるぞ! これではドラゴンに突っこむだけだ!」

「その寸前で急旋回する! 訓練を忘れたのか!?」

「実戦が訓練通りに行くと思っているのか!? 少しは速度を落とせ!! ほかの連中も追いつけなくて焦っているぞ!!」


 ミーリアの言葉に、メアリーだけじゃなく、俺も背後を見た。なるほど、ほかのダークエルフたちの乗ったワイバーンが、あたふたと加速して後ろからついてくる。確かにこれは加速のしすぎだ。


「おい! ひとりで喧嘩したらドラゴンには絶対勝てないんだぞ!! 速度を落として、とにかく数の暴力で行け!!」

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