表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

112/145

112

 なんだかよくわからんが、そういうものらしい。


「それで無理矢理にでも地上に落とし、そこでナイトゴーレムたちをけしかけて命を奪う」

「なるほどな」


 さすがにナイトゴーレムたちは飛べないらしい。メアリーの肩をつかみ、バランスを崩さないようにしながら下を見ると、町の住民たちがあたふたと家のなかへ入って行った。俺たちが地下にいる間に緊急警報でも流れたみたいだな。代わりにナイトゴーレムがぞろぞろと姿を現しはじめる。地下倉庫に保管されていた奴をアーバイルが起動させたらしい。

 それが一気に駆けだし、城下町の門から外へ雪崩でていた。


「で、肝心のドラゴンはどこにいる?」

「どこに目をつけているんだ! 前を見ろ!!」


 メアリーに訊いたら切れたみたいに怒鳴られた。言われて正面にむかって目を凝らすと、入道雲のなかに黒い点が見える。


「なんだ、小さいな」

「馬鹿か貴様!? この距離であれが見えるということは、とんでもなく大きいんだぞ!!」


 メアリーの切羽詰まった声が説明してきた。切れてるんじゃなくて悲鳴だったらしい。俺たちが相手をするドラゴンと言うのは、よほどのモンスターだということか。


「古文書を読んだことはあったが、まさか本当だったとはな。もっとまじめに目を通しておくべきだった!!」


 ワイバーンをあやつる手綱を操作しながら、メアリーが後悔したみたいに叫んだ。しゃべってないと緊張で気が休まらないのだろう。


「古文書って、何が書いてあったんだ!?」


 俺も怒鳴るみたいに質問した。ワイバーンの飛行速度が上昇して、周囲がビュウビュウうるさいから怒鳴らないと相手に聞こえない。


「ワイバーンを猫に例えるなら、ドラゴンは虎だそうだ!」

「――何い!?」


 猛スピードで飛ぶワイバーンの上で俺は絶叫した。


「じゃ、勝てるわけないだろうが!!」

「だから、数にものを言わせてなんとかするしかないんだ! 戦っても殺される、無抵抗でも殺される。だったらやることは決まっている。私たちは騎士だぞ!!」

「俺は一般人だ! 騎士の勘定には入らないはずだぞ!」

「だったら降りるか!? いやなら、この場で飛び降りてもらってもかまわないんだぞ!!」


 言われて俺は、あらためて下を見た。目測だが、いま、大体地上300メートルである。TVでスカイダイビングの映像を見たことがるが、あんな感じだった。そういえば、俺は飛び降り自殺をしようとして、こっちへきたんだったな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ