表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/145

11

 いくらなんでも、これでさすがに動かなくなるだろう。人間の通り魔がナイフを使うのは、それで自分が刺されたら死ぬから相手にも使うのだ。三メートルのロボットをたおすには、三メートルの持っている武器を使うのが一番有効な手だったのである。


「それはいいとして、だ」


 きて早々に、やっちまったかな。俺は三メートルの剣から手を離した。恐る恐る背後に目をやる。金髪で白い肌の、綺麗な顔立ちの村人――じゃなくて、村エルフがぞろぞろと集まってきていた。皆、呆然と俺を見つめている。獣化から、徐々に人間の姿に戻っていく俺が珍しいらしい。

 そして、恐ろしいのだ。


「驚かせて悪かったな。この三メートルのロボットがなんだかわからないけど、すぐでて行くから――」

「B!」


 言いかけた俺のセリフが遮られた。声のした方向をむくと、一番はじめに見た、あの天使みたいな顔立ちのエルフが目を見開いて駆け寄ってくる。確か、名前はジャスミンだったか。


「○○○○――あなた、獣化症だったの!? Aと同じで!?」


 よほど興奮していたのか、本来の自分たちの言葉でしゃべりかけ、途中から日本語になった。仕方がないからうなずく。


「まあ、見ての通りだ」

「素敵!」


 ジャスミンが嬉しそうに言い、俺の腕をペタペタ触ってくる。獣化症の身体が珍しいらしい。――これは予想外の反応だった。俺は獣人類だぞ。それが素敵だ? 訳がわからずに周囲を見たら、ほかのエルフの皆様も、珍しそうな顔をしながら、それでも近づいてきた。

 皆、笑顔だった。


「ちょ、ちょっと待ってくれよ」


 半分ビビりながら俺は後ずさった。正体を知られて歓迎されたのは生まれてはじめてである。どうしたらいいのかわからない。


「あの、質問するから答えてくれ。あのな? 俺のこと怖くないのか?」

「え?」


 笑顔で俺を見ていたジャスミンが、少し不思議そうにした。


「あなた、私に暴力を振るうの?」


 とんでもない質問で返してくる。俺はあきれた。


「振るうわけないだろう」

「じゃ、怖くないわ」


 返事をするジャスミンの背後から、ほかのエルフたちも近づいてくる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ