表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

108/145

108

「あ、B!」


 メアリーにつれられて廊下を走っていたら、むこうからジャスミンの声が聞こえてきた。俺の気配を感じとったらしい。角を曲がると、ジャスミンとローズ、それにアーバイルが待っていた。


「あのね、B、いま、すごい魔力が」


 先にしゃべりだしたのはローズだった。怯えたような表情は、いきなりドラゴンの魔力を食らったためだろう。メアリーたちでさえ苦悶したくらいだからな。子供のローズには大変なショックなはずである。

 で、そのまま俺の後ろを駆けてきたドワーフたちと目が合った。


「「あ!」」


 ジャスミンとローズが同時に声をあげる。瞳に宿るのは嫌悪の感情だった。


「こいつらって、ドワーフじゃない!」


 ジャスミンの言葉に、俺の背後に立っていたドワーフたちが怒りのオーラを昇らせた。


「ひとりでは何もできない小娘が、なんだその言い草は――」

「喧嘩はあとだ!」


 俺は怒鳴りつけておとなしくさせた。それにしても仲悪いな本当に。命の危機よりも目の前の喧嘩を優先させるのがエルフやドワーフみたいな妖精種族の特性なんだろうか。


「アーバイル、この地下工場って、ドラゴンの襲撃に耐えられるのか?」


 俺が訊いたら、アーバイルが狼狽した顔で首をひねった。


「私にもわからない。何しろ、ドラゴンの襲撃なんて、はじめての経験で」

「あ、そうか」

「とりあえず、限界まで頑丈にはつくっているが、それは町の城壁も同じはずだ。城壁を破壊されるようなら、ここも破壊される」

「なるほどな」


 つまり、ここに閉じこもっていても、そうでなくても同じってことか。


「生き埋めになるよりは外にでたほうがよさそうだな。どうせ死ぬならドラゴンを見て死にたいし」


 軽い調子で言いながら、俺はジャスミン、メアリー、ドワーフたちを見まわした。反論してくるものはいない。


「じゃ、地上へでるぞ」


 五分後――時計なんてないから大体だが――俺たちはエレベーターに乗って地上へあがろうとしていた。


「それにしても、なんでドラゴンが街へきたんだ?」


 地上へ到達する前の間、俺は不思議に思っていたことを質問してみた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ