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101

 俺の発言と同時にメアリーたちがおとなしくなった。――いま気づいた。この表情は怯えである。メアリーたちの不自然なつくり笑いは怒りを押し殺していたのではない。恐怖を押し殺していたのである。


「やっぱり、私たちを抱くつもりなのか?」


 メアリーが怯えた顔で訊いてきた。なんか、俺が一言命令したら、この場で裸になりそうな感じである。


「そんなわけないだろう」


 俺の返事に、メアリーが柳眉をひそめた。


「私たちに、女としての魅力を感じないのか?」

「十分魅力的だと思うぞ」

「では貴様ホモか?」

「俺の話を聞け!」


 どうもおかしな方向にばっかり話が行く。いったん話を中断させ、俺はメアリーと、ほかのダークエルフたちの顔を見まわした。ダークエルフたちも緊張した面持ちになる。


「正直に言うけど、昨日、メアリーたちが言ってた会話は全部理解できた。あのときは黙ってたけど、俺も驚いたぞ。あんなことやってたのか」

「白い連中は目障りだったからな」

「だからってやっていいことと悪いことがあるだろうに」


 俺はあきれた。


「白いエルフは殺してもいいと思ってたのか?」

「殺すようにはプログラムしなかった」

「は?」

「あのナイトゴーレムは、白い連中の魔力を吸収するだけだ。それでも、何度も被害に遭っていれば、そのうちこの国をでていくだろうと思っていたからな」

「なるほど」


 つまり、女のよくやる、ネチネチとした嫌がらせだったってことか。


「それで、ああいうことを、ほかにもやっている連中っているのか?」


 メアリーがほかのダークエルフたちを目を合わせた。


「たぶん私たちだけだと思う」

「そうか」


 これは本当のことを言ってるな、と俺は思った。私たちだけだ、と断言したなら、なんの根拠があるんだと疑うところだが、私たちだけだと思う、と言う以上は、ほかのメンバーが何をしているのか知らないということである。


「それから、ここには、ほかにもダークエルフの騎士はいるのか?」

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