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「どうすればたおせるんだ?」


 俺は距離をとりながらつぶやいた。冷静に考えたら、鎧兜を着た相手と素手で殴り合いしてるみたいなもんだ。内部のコンピュータを破壊しようにも、こう頑丈ときてはどうしようもない。


「――?」


 やっぱり逃げだそうかな、と、二度目の思案をする俺の視界に、あるものが映った。そうか、あれがあったな。試してみる価値はありそうだ。折れた背中の痛みは考えないようにしながら駆ける。俺が飛びついたのは、三メートルが振り降ろして、地面にめり込んだ剣だった。


「ふんぬー!!」


 俺は三メートルの剣の握り部分を右脇に挟み――握りの部分だけで、俺のふくらはぎくらいあった――やけくそみたいな気合いを入れて剣を持ちあげにかかった。一瞬置いて、ごそっという音とともに土くれをばらまきながら、剣が地面から抜ける。重い。ロボット用の武器を持ちあげたのだから当然だが、こりゃ、横に振りまわしたら遠心力で自分の身体まで持って行かれちまうぞ。縦に振るしかない。


「さてと」


 三メートルの剣を右脇に抱えたまま、俺は三メートルに目をむけた。三メートルは、まだ自分の顔をこすっている。センサーの隙間にも血が染みたらしい。まだそれがぬぐえていないようだった。


「悪く思うなよ」


 不意打ちも同然の行為だから多少は気がひけたが、これは実戦だ。俺は力まかせに剣を振りあげた。三メートルは、顔をぬぐっている。


「うおおりゃあ!」


 折れた背中の痛みを打ち消すように怒号をあげ、あれは三メートルに駆け寄りながら剣を振り降ろした。

 TVの時代劇で聞く、白菜を切るような音ではない。たとえて言うなら、戦争映画の爆撃みたいな轟音が走り、三メートルが、頭を潰され、全身をぐちゃぐちゃにしながら地面に倒れ伏した。


「うおおりゃあ!」


 もう一度気合いをあげ、俺はそのままフルパワーで後ずさった、ずずう! という音とともに、三メートルの残骸から剣が抜ける。あらためて剣を振りあげ、ふたたび三メートルに駆け寄る。


「もう一発ー!!」


 怒鳴りながら俺は剣を振り降ろした。どかん。うつぶせに倒れている三メートルの背中が激しい音を立てて左右に分断される。

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