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Zero  作者: 山名シン
第4章
50/60

終わらない悪魔・冥界の民

不適な笑みを浮かべながら、二人の悪魔を見つめる大和は、空を見上げ三つ巴の神々の戦いを見ていた。


「フフフ。随分神様ってのは雑な戦いをするんだね。ぶつかり合うだけか……」

その時蛇の矢が空を切り、大和を襲った!

だが、その矢をなんなく切り裂き、また空を見上げた。

「余所見してる暇あんのかい?」

舌をペロッと出し、次々と蛇矢を射ち、毒を撒き散らすメドゥーサ。

しかし、ことごとく切り裂いては避ける大和に苛立ちを感じていた。

「メ"ドゥーザ俺"も"や"る"援"護"頼"む"」

「えぇ任せてちょうだい」

ゴーレムが地面を蹴りあげ岩石が弧を描き、それが蛇矢に貫かれ流星のように飛び散った。


「フフフ……[雅王拳…鳥…キメラ]」

大和の腕が鳥肌になり、指は三本に変わる。

徐々に真っ白に染まっていく。

白鷺(しらさぎ)!!!」

巨大岩石を受け止めた瞬間鷺の形の白い塊が岩を粉砕していく。

「フフフ…あまり僕を舐めないでくれよ?それに時間が無さそうだからね。さっさと決着つけようか?」

「えぇ。強い男は好きだし殺すのは惜しいけど仕方無いわね‼ゴーレム!行くよ!」

「グガガア!」


ゴーレムが一撃で辺りの地面を粉々に砕き割っていき、凹凸の出来た場所の隙間を狙ってメドゥーサの蛇が泳ぐ。

大和は音剣(おとけん)山越(やまごえ)を大地に突き刺し音の振動を伝えていく。

「ギーン!」という効果音を響かせ、悪魔の動きを鈍くするも、隙間を縫って涌き出た蛇の大群が大和に巻き付いた!

白い腕が蛇に触れ、その蛇が灰に変わり溶けていった所で、大和の立つ地面が唐突に消え去った。

いきなりの落とし穴に嵌まったように、落下していく大和は、咄嗟に腕と足を伸ばし空を見上げながら静止する。

「フフフこんな無様な格好で終わるのかなぁ?フフこれもいいかもねなかなか気分が良い」

「捕まっちゃたね。窟贄(テリア)に嵌まったら創造の神でも無い限り逃げられないよ」

メドゥーサが蛇矢を構え、もはや隙しか無い大和を見下している。


大和の少し上に突き刺さった山越がある。


「グガガア!」

ゴーレムが手を閉じる仕草をすると、落とし穴が閉まり始めた!

この落とし穴は大陸(タウン)が迫ってくるのと同じで、これを防ぐ事は即ち大陸を素手で止めるということ。

物理的に不可能だが、大和はそれをやってのけた!

[雅王拳…鳥王(ちょうおう)!!]

迫り来る大地の衝撃を全て背中に生やした巨大な翼が受け流してくれる。


「フフフ。この鳥は[愚労鳥(ぐろうどり)]って言ってね、愚かな労働を強いる鳥って意味さ。技の衝撃を全て羽に集めて受け流す事が出来るのさ。ま、たったそれだけだけどね」

大和の背中の羽根がどんどん、どんどん大きくなっていく。

はち切れんばかりの羽根が、悪魔を驚かした。

「な……なんて奴!」

メドゥーサが奇声をあげて[サラマンダ]と呼ばれる巨大な蛇を口から召喚し、大和目掛け飛ばす!

「メ"ドゥーザ 落"ぢ着"げ」

ゴーレムの声も空しく、サラマンダの蛇が大和の腹を突いたと思われた!

が、大和が上に刺さった山越の柄を掴み、手が空いた瞬間に、「左手」をサラマンダの口に押しやった。

「雅王拳…白鷺!!!」

現れた白鷺がサラマンダを喰らい灰に変えていく。

掴んでいた山越で、まるで体操選手のように、跳ね返り飛んだ!

飛ぶ勢いで、背中の羽は空を切って落とし穴に落下したが、大和の手が離れた瞬間またも、大地が押し寄せてきた!

しかし、ギリギリの所で、大和は落とし穴を登りきり、ズシンッという効果音と共に、メドゥーサを切りつけた!

「グガガア!メ"ドゥーザァァァァ!!!!!」

まだ宙に浮く大和目掛けゴーレムが拳をあげて叩きつけようとしている。

「フフフ……」

大和は両手で剣を握り締め、迫り来る岩石を男を切り裁いた!

「悪魔退治……完了って所かな?フフフ……」

爪先立ちで地面に降り、何事も無かったようにまた大和は、空を見上げ、神々の大袈裟なぶつかり合いを見ていた。


灼熱の業火を纏った太陽剣を、振り上げ、ヘカトンケイルを斬る!

龍鬼も五重腕鬼で殴る!

だがヘカトンは平気な顔をしている。

そして50本に別れた腕を巧みに使い、(つるぎ)達を追い詰める。


「龍鬼だっけか?あんた、他行っていいぜ。俺一人の方がやりやすい」

「自信があるんだな?俺も雷鬼を探さねばならんかった。甘えさせてもらおう。死ぬなよ!」

龍鬼は去っていくが、それを防ごうとヘカトンが攻撃を繰り出した。

が、一足飛びで龍鬼の後ろへ飛び、襲い来る腕を切り落とした!

龍鬼は振り返らずに、走った。


「やっと一人になれた……これで遠慮しなくて済むな!」

剣は樹力をこの時初めて上げた。

自然の力を借りて、自身の身体能力を極限まで上げ、その場から10mあるヘカトンの頭上まで一気に飛び、灼熱の業火を帯びた太陽剣を一所に集める。

太陽剣が煙をあげて、深紅に輝く。

まるで剣を作る際に熱を帯びた鉄を叩く時のように、太陽剣は熱を帯びて火花を撒き散らす!


戀獄焔嶄(クグルオン)!![プラズマ]」

太陽剣の最大の技であり、その場に存在するだけで、(つるぎ)を中心に半径50mが一瞬にして蒸発し焼き崩れてしまう。

そして、それを、槍の達人プロセウスに教わった「神速突(タキオン)」の超速業(ちょうはやわざ)で斬りつける事で、50mの範囲を最小限で抑える事が出来、対象者のみを焼き斬る。


ーーーーーーーーー!!!!!!


音はない。

轟音を通りすぎて音は消えたのだ。

10mあるヘカトンケイルに、業火の炎が取り巻いたような「残像」が見えると同時に業火は消え、剣が降り下ろすよりも速く、燃え尽きた!


だがーーーーーーー。


ヘカトンは生きていた!

そして何事も無かったように、拳を構え剣に攻撃する!

灼熱の炎を纏った太陽剣でそれを防ぐも、第二第三の攻撃が繰り出される。


(……なんだ?こいつ?……)

剣は心底思い知ったようだ。

「悪魔は死なないのさ……」

その時、ヘカトンケイルの闇の深い黒い声を耳にした。

「その程度の灼熱がどうした?[冥界]では普通だ。涼しいぐらいだなぁ?」

片言で話していたヘカトンケイルの、饒舌に(つるぎ)は恐怖を覚えた。

「いいかい?私達はただの足止め役。たとえやられても死ぬ事はないさ。そして、頃合いをみてマーラに取り付いた私の蛇の毒を解放し、さっさと退場するわよ?フフフ」

メドゥーサ達悪魔はマーラとカーラに協力はするといったが、彼女は初めから、総督がいないのであれば、今すぐにでも冥界に帰ろうとしていた。

いつでも裏切る事は出来る、そして退屈だから、メドゥーサ達悪魔は、マーラとカーラに協力しているのだった。

『終わらない悪魔の恐怖は全て、彼らの気紛れに過ぎないのだ』

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