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Zero  作者: 山名シン
第4章
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超巨大岩石魔神・幻獣

壊しても壊しても減らない岩人。

どころか増えていく一方で岩人は鈍いこもった声で笑う。

「グゴゴゴ!ぞん"な"程"度"でよぐ生ぎでい"る"な"」

「はぁ……何こいつどうすれば倒せるのよ!」

ナデシコが戦う相手は岩の塊。

名は「[超巨大岩石魔神]ゴーレム」

地面を浮き上がらせ自分の分身を作り相手を撹乱させている。

さらに自在に岩を操る事が出来、世界の頂上現象と呼ばれる土石流などはゴーレムの仕業とまで囁かれる程岩を完璧に使う。

それ故に砕く事はおろか、勝てる者などこの世にいるのかとさえ言われる。

それほど弱点が見つからない悪魔の中で最も硬く攻撃力も強い怪物だ。

ナデシコは遊ばれていた。

ゴーレムの作る岩の人形に踊らされていた。

樹力で自身の力を底上げし岩を砕くも、それもむなしくゴーレム人形は増え続ける一方だった。


「ゲリラさん!あれ見て!幻獣かしら?」

「あぁ間違いないな!行くぞ!あれは厄介だからの」

メディスはある人物を見て驚嘆する。

幻獣と戦っていたのは、かつての仲間「ヘラクレス」がそこにいた。


ヘラクレスの能力は「飛ばす」事だ。

腕、足、頭、目玉や歯まで体の一部であればどこへでもー自分が見えている範囲ならー飛ばす事が出来る。

ただ飛ばす時無意識にだが[海(シー)(ノビレス)]の血が疼き、悪魔の片鱗を見せる。

口を飛ばせば、それは鋭利な牙となり鋼鉄をも噛み砕く。

腕を飛ばせばそれは豪腕に変わりあらゆるものを叩き割ってしまう。


「私から逃げようなんて呆れる!」

目が一瞬真っ黒に染まり瞳孔が赤く光る。

腕を構えて殴りつけると、その動作の瞬間だけ肩から下の腕を飛ばし、アイスアウィスの目の前に来る、そして殴り終えるとその腕が消えて、また元の位置に戻る。

ヘラクレスの「飛ばす」能力は、構えて、振るう瞬間消えて、直撃し、消えて、戻る、を繰り返して攻撃する。

普通の人が殴ると構えて腕は真っ直ぐに伸びる。

この動作の最中で腕を消したり飛ばしたり出来るのだ。

つまりどれほど離れていようと目の届く範囲なら、極端な話千km離れたぼんやりとしか見えない山の頂点にまで「体の一部を飛ばす」事が出来るのだ。


アイスアウィスの破片が飛ぶ。

しかしその破片はすぐに再生される。

羽根を大胆に広げて氷の羽の刃を撒き散らす。

一本一本の大きさが2mを越す巨大な刃なので来るとは分かっていてもなかなか反応しきれないものだ。

「ヘラクレス‼」

叫んだ少年はフレアだ。

だがフレアは火の力を存分に発揮出来ない。

足に火を集め飛ぶも間に合わない。

「私なら大丈夫だから、そっちの化け物お願い‼」

ガルーダの事だ。

ガルーダは天真爛漫で予測不能な炎の玉を放ってくる。

赤、青、緑の三つの炎玉を吐き、それぞれを見極めながら戦うのは困難だ。

赤い玉はどんなものをも燃やし尽くす最強火力の炎。

青い玉は酸だ。触れれば元も子もない。

緑の玉は唯一触れる事が出来、だが重い。これは足止めによく使われる。

ヘラクレスを助けに行こうとするが緑の玉がフレアを襲った!


「雅王拳……犀!……玉犀(ぎょくさい)

突如として、アウィスの体が砕け散った。

200m程ある巨体を一瞬にしてバラバラにする程の威力、だがすぐに再生するから意味はないとはいえ、恐ろしい程強い者が来た、とヘラクレスは思う。

「誰?」

「ふんっ!随分痛め付けられてるんじゃない?アナタ、もう少し出来ると思っていたんだけど?」

犀の角を伸ばしたかつての仲間を見たヘラクレスは、まだ中空に浮いているメディスに目掛け目だけを飛ばした。

「ひっ‼……あぁアナタそんな事してたわねそう言えば……」

「メディス……」

そして目が消え、元に戻ると頬を少し上げた。

ズンッと地面を揺らして落ちてきた。

「助け、いる?」

ニヤリと笑う。

「ええ。但し、足手まといにならないでね!」

オカマと雌雄の判別つかぬ、奇妙な二人組が誕生した!


緑の球体がフレアを襲う。

それを手に纏った小さな炎で受け止めようとするが、思った以上に玉は速く直撃すれば腕は粉砕するかもしれない。

覚悟を決めたその時、老人の姿が視界を遮り、ガルーダへ向け緑の球体を蹴り返す‼

そのままガルーダの腹に直撃し、吹き飛ぶ。

「少年よ。もう少し本を読むべきだったな。ちゃんとあれの弱点が書いてあるぞ?」

「お、おじいさんは誰?」

フレアは老人の背中を驚きと少しの恐怖を交えながら見ていた。

「わしか?わしは、剣山家第12代目当主・剣山ゲリラだ!」

首を回し後ろがわに小さな少年を目の端にとらえながらゲリラは口角をほんの少し上げる。

だが、名乗った所でフレアには剣山家など知る由もない。

何故なら、クールタウンとヒールタウン出身の者だから、大陸を越えた家の者など尚更知るはずがないからだ。

唖然とした顔でゲリラを見ていた。

「………?……あ、あの助けてくれてありがとうございます。」

「なに、礼を言うまでもない。それより、あれは幻獣。わしだけでは多分勝てん。協力してくれるか?まぁ大分昔の生き物じゃから今はかなり弱っていて倒しやすいとは思うがのぉ?」

老人(ゲリラ)少年(フレア)の共闘が始まる。


メディス&ヘラクレス[雌雄別コンビ]vs幻獣(アイスアウィス)、ゲリラ&フレア[老小コンビ]vs幻獣(ガルーダ)の戦いが始まった。

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