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Zero  作者: 山名シン
第4章
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世界の人々の動向ー其の四ー

俺はまだまだ子供なんだよ。

ずっと誰かに支えられて、なにか気に入らなかったら誰かに当たってふて腐れるだけだった。

誰の気持ちも考えた事なんかない。

でも、何でかなぁこいつといると自分が変わったって思える。

初めてだよ、こんな気持ち。

だって、好きな人と一緒にいれるのだから。

少しでも頑張らないとって思ってしまう。

いや、体が勝手に動いちまうんだ。


「なぁ、ヘラクレス。俺最近になって分かる事が一つあるんだ。」

ヘラクレスは風でなびく髪の毛を耳にかけ、彼に体を傾けた。

「へぇ、なんだい?教えてよ」

しかし不適な笑みを見せるだけで答えてはくれなかった。

無邪気に笑う彼の顔を見て、ヘラクレスは呆れて立ち上がり空をあおいだ。

「見てみなよ、フレア。空は広い。広くて雄大で立派だ。私はね、フレア貴方の為なら何だってする。命懸けで貴方を守ってあげるって思ってるの。いつでも私たちを見守ってくれるあの空のように、私も広い心でフレアを守る。私は最近そういう事を考えてるかなぁ」

その瞬間、二人を巨大な影が昼の明るさを遮った。

上空に見えるのは、青白い冷気を放った鳥と、炎が燃え盛る鳥の二匹の「幻獣」だった。


何なんだよ皆、僕が一体何しったって言うんだ!

僕はただ必死に戦っただけじゃないか。

僕のおかげで戦いが終わったじゃないか。

何で僕を責めるんだよ!

何でだよ!

こんな所に閉じ込めなくて良いじゃないか。


でも、あの女の人は僕を抱き締めてくれた。


伝説のサケルドーサーの妹は剣山家、龍牙家を飲み込む巨大竜巻の暴走をその命を懸けて救ってくれた。

そのおかげもあってか、剣龍合戦蜥蜴の戦いは終結を告げた。

だが、その事実だけが一人歩きしていき、何故止めてくれたのかは未だに謎のままだった。


「……ハイベストの神は最善を尽くした子供を救ってはくれないようだな。」

ワストはあの一件以来、ベスト一族の汚点となり箱詰めされて暴れられないように、閉じ込められている。

「どうだ、ベストにはなれないがそれでもお前自身が、更なる最善を尽くそうと、まだそんな熱があるなら俺とついてこないか?」

ワストの父親ベストは、息子の不甲斐なさを嫌って風神の継承者にしたのか、それとも本当に人並み以上に強く逞しく慎ましい男に育む為に継承者にしたのか、その真意は分からない。

しかし、ワストにとってはどちらであっても迷惑な話でしかなかった。

確かにワストは皆に比べて劣っていた。

だが時が経てば必ず同じ立ち位置へ辿り着いていたのだ。

ベスト一族にとっては後から追い付くという概念はない。

必ず、ベストを、最善を尽くせば必ず皆が皆同じ時期に同じように全く違うことなく同列で強くなっていく。

それが掟で大前提なのだ。

ほんの少し遅れるぐらいはまだ良い、少し頭が出ているぐらいもまだ良い。

ワストの場合は極端に成長スピードが遅かったのだ。

「お前が風神だというのは、知っている。風神には雷神が付き物だ。だが、それでは二つの力が強すぎて反発しあってしまう。その為に水神が存在する。風があれば雷が存在し、雷があれば風が存在する。しかし、そのどちらもに存在するものが雨だ。雨がなければ風も雷も生まれない。雨とは水だ。水は万物の象徴だ。」

父ベストは一族の中でも普通だった。

別段強いという訳ではなく、弱い事もない。

ただただ普通だった。

その父の口癖は、「強く逞しく慎ましい男になれ」、だった。

普通だった父が故の夢でもあったのだろう。

だが、父ベストは風の村の出身ではなく村に住んではいない。

ベスト一族は風の村に生きる者と、村々を転々としながら生きる者と、警察として剣山家の領地の中に居着く者と三つに別れる稀有な一族だ。

それと言うのもベスト一族と言うのは元々異民族で、出生はウォールタウンの白夜地方だからだ。

そこではハイベスト一族と名乗っており蛮族を中心にたまたま流れ着いた者の金品や装飾品を奪い、独自の神、ハイベスト神に祈りを捧げて狩りをしていた一族だった。

父ベストはこのハイベスト一族時代を誇りに思っていたのだろう。

ハイベスト神はベスト一族のみの小さい神だったから継承者になるにはベストの血を引く事、そして己の名を一生涯「ベスト」と統一する事を誓えば皆継承者になる事が出来るのだった。

「さぁ、俺たちと一緒に来い。風の神を継ぐ者よ。雷の神と手を結び、水の神と共に生きよ!」


シーラと雷鬼の海の紋章を探す旅に、風神が加わった。

その存在は、暴風雨神と呼ばれる「ルドラ神」に等しい力になりえた。

水、風、雷の継承者シーラ、ワスト、雷鬼はこの世の海を全て操れると謳われる伝説の王の力「海の紋章」を探しに旅に出た。

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