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あなたとわたし

「行ってきます」

『私も行ってきます お母さん』

これから千夏ちゃんと一緒に病院に行く

もしかしたら....賢治も目を覚ましているかもしれない。


「いってらっしゃい 千夏、知恵ちゃん。」

心配そうに微笑んだお母さんを横目に扉を閉めた


昨日通った道を千夏ちゃんと一緒に歩く

昨日は暗くて分からなかったけれどこの辺りは郊外のようで人通りも少なかった


「知恵ちゃん。」

振り返った千夏ちゃんの顔は曇っていた

「昨日...どんな夢を見たの?」


『.....』

昨日の事ははっきりと覚えている

賢治は私に....


「今話せないならいいの。 ごめんね 変なこと聞いて」

『千夏ちゃん。大事な物を失う代わりに願い事が叶う箱があるとしたら.....信じてくれる?』

「え?」

『私にもはっきりとは分からないの。でもあれは夢のようで夢じゃないの。』

私の賢治を救いたい想いは変わらない

願うと左手に箱が現れた


『強く願うとね この箱の中に入れるの』

千夏ちゃんは黙って話を聞いてくれていた

『この箱の中で昨日賢治にあったんだ。賢治は私を責めてた。当然だよね』

「知恵ちゃん.....」

『ごめんなさい。信じれるはずないよね...』

そう。願いを叶えてくれる箱なんてあるはずない

私だって本当は信じられない

「そんなことない。だって知恵ちゃんが言ってるんだから」

『.....』

「知恵ちゃんは...小さい頃の私に似てるから...」

千夏ちゃんはそれ以上は何も言わなかった。



私達は重い雰囲気のまま病院に着いた

病院につくと私は一直線に賢治の居る病室に行った

病室の中に居た賢治は....やはり目覚めていなかった

『賢治.....ごめんね。私はお姉ちゃんなのにね...』

私はどうすればいいの...?


「願えば賢治は助かるよ?」

あの声が響いた

「最初から分かってたんじゃないの?賢治は目覚めないって」

私と全く同じ声

「私はあなた。あなたは私。あなたの願いは私の願いでもあるの」

声が震えていた

「でも私には何もする事が出来ない。大事な代償が無いから」

初めて箱が現れた時、彼女は言った

私はあなたの心だと

「だからこそ代償が居る..例えば...千夏ちゃんとかね?」

考えもしない言葉だった

でも賢治を救うには代償が要る

なら



「休憩時間の間に知恵ちゃんの所に行こうかな」

千夏は二人分のお弁当を持って賢治君の病室に行った

「知恵ちゃん。外でお弁当食べよう」

そういって病室に入ったが賢治以外には誰もいなかった

...床には見覚えのある小さな箱があった


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