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第一話

 現在書き溜めてるものが行き詰ったんで、まぁ息抜きです。

 基本的にはネットゲームを知っていること前提で書いてます。

 が、あとがきとかである程度補足はするかもしれません。

 作者の趣味の塊なんで、作品傾向は曲げる予定なし。

 見切り発車というか、書きながらその場で設定とか全部考えてます。

 絶対矛盾あります。誤字脱字祭り。

 地雷てんこもり。適当に書いて適当に投稿。


 この大量の注意事項に同意してお読みください。




「揺蕩う闇、蝕むは紫色……ポイズン!!」


 僕の詠唱が高らかに響き、構えた杖から禍々しい紫色のエフェクトが迸る。

 それは意思を持つかのようにターゲットのハイ・オークに群がり、瞬く間に包み込む。

 僅かな一瞬後、革製と鉄製のハイブリット式アーマーの隙間から見える肌が僅かに紫を帯びる。

 

 ――判定の成功だ。


「ブモ!! ブヒッ、ブホォォオオオォオッ!!」


 こちらの攻撃に気づいたんだろう、その豚顔に相応しい豚声を上げながら、血走った顏で突撃してくる。

 だが悲しいかな、ここは森林フィールドであって、当然木々がその行く手を阻む。

 その間に僕が次に詠唱を完成させるのは実に容易い。


「遍く大地。偉大なる新緑。美しき女神。我が声を聴き、願いを叶え、拘束せん……プラントバインド!!」


 支援系拘束タイプの中級呪文が完成した瞬間、周囲の木々がざわめきその枝葉をくねらせハイ・オークに纏わりつく。

 地面からも植物の根が飛び出し、まるでがんじがらめにするようにその身を拘束してしまった。

 効果時間はこのクラスの敵ならおよそ30秒程度だろうが、十分だ。


「深き闇の底、冥府の女王ヘリオンヌよ、そなたの美しき御手を貸したまえ……デスタッチ」


 詠唱の完成と同時、金属製の杖から黒と赤の混じった靄のようなエフェクトが噴き出す。

 支援系をある程度収めると覚える即死系補助呪文デスタッチ。

 一種のエンチャント呪文であり、その成功判定は接触毎に発生する優秀な呪文だ。

 僕のソロ活動を支える支柱なのだが、その成功率は残念ながら5%を下回る。

 ただ、まぁ……


「ほい! やぁ! とぉ!!」

「ぶっ……ぶもぉおぉおおおぉぉぉお…………」


 はい、討伐完了。こうして拘束して何度も何度もを通常攻撃を加えればそのうち効果は出るからして。

 

「……ふぅ。そろそろ一時間くらいかなぁ。やっぱソロは無謀だね、うん」


 一見バランスブレイカーのようなコンボに見えるかもしれないけど、むろんそんなことはない。

 拘束系呪文は同格ならまだしも、格上に対してはその拘束時間が著しく減少するし。

 デスタッチにしても、相手の呪文抵抗が高ければ低い成功率は更に下がることとなる。

 そもそも即死系呪文は消費MPが激しいから、あまり連発はしたくないんだ。

 なら普通に攻撃系呪文で戦えばいいって思うでしょ?


 でも残念。僕っていわゆる支援特化ってやつなんだよね。

 攻撃呪文なんかにリソースを割くくらいなら、一つでも多くの支援呪文に回すよ。

 即死系はエンチャントタイプだから取ってるんであって、例外なんだ。

 後は自身に支援呪文重ね掛けての白兵戦だけど……

 うん、まぁ、お察しでステータスも全部支援系に注いでるから焼石に水。

 つまり、無理。HPだって下手な攻撃呪文の使い手、スペルキャスターにも劣る自信があるね!


「うーん……こうなるのは分かってたんだけど。僕って、野蛮な職業クラスは嫌いなんだよなぁ」


 別に僕がマゾってことはない。ただ、現実のとある事情もあって激しい運動は嫌いなんだ。

 ソーサラーとかならって思うけど、これも却下。

 華々しい攻撃呪文にはちょっと心惹かれるものがあるけど、不思議となろうとは思わない。

 んで、そうなると道は決まってきて、回復呪文系か、支援系か、あるいは生産系かって話になっちゃうよね。

 今までやってきたVRMMOも、この3つを回す感じでプレイしてきたし、今回はたまたま支援系ってだけだったりする。


「このゲームやりはじめてそろそろ“2カ月”なのに、まだ38レベルなんだよなぁ……」


 現在のカンストレベルが45って考えれば、結構いいペースに思えるだろうか。

 でもコレ、実はかなりの時間課金アイテムの経験値増加薬使っての話しなんだ。

 これ抜きなら、多分30もいってなかったと思う。

 しかも、2カ月って、現実時間の事で、ゲーム内時間はその倍、4カ月が経ってる。

 早い人はとうにカンストしてるし、次のUPデートでは3次職の解放に加えてキャップの解放だ。

 残り4日、ゲーム内時間なら8日で3次職の条件40レベルに到達するのは正直課金してギリギリかもしれない。


「支援系はやっぱりマズったかもしれないなー」


 今日はもう狩りをする気も失せたし、帰ろうかな。

 そもそも支援系はPTで狩りをしてなんぼなのに、僕のゲーム内フレンドはたったの3人しかいない。

 しかも1人は実の妹っていうリアル関係なんだから、その少なさは我ながら実に悲しいものだった。

 というのも、原因はわかってて、自分のアバターに問題があるんだけどさ……


 ちらちらと視界に入る木々の合間から射し込んだ日の光を反射する、真っ黒な髪。

 それはものの見事に腰まで伸びており、妹いわくムカツク程のストレート具合である。

 身長も実に154センチとかなり小柄だし、杖を持つ手は小さく異様に白い。

 鏡を見れば、これまた妹曰く、黙ってれば和製の人形のような顔立ちが見れるのだろう。

 そんなナリではあるけど、うん。僕はリアル性別男である。


 ゲームによってはこの女々しい姿が原因で中々フレンドに恵まれないことが多い。

 変に寄ってくる人はいるけど、リアルの性別を知ると手のひら返すし、そうじゃなくてもネカマやらなんやら騒ぎ出す。

 よしんばそうじゃなくても、今度は異様な執着心を見せたりと、過去思い出したくない事も何度となくあった。

 ならアバターを弄ればいいと思うかもしれないけど、僕は自分の容姿は好きじゃないが、誇りを持ってる。

 なんせ、母が僕に与えてくれた唯一の絆で贈り物だからね。誰にも否定させないし、しない。

 

 ――フレンド、“リリー”よりコールが入ってます。


 と、くだらない考えばっかしてたら噂の我が妹様からの連絡である。

 ステータス画面を呼び出せば、リアル時間にして19時過ぎを指していた。

 どうやら妹様は空腹に耐えかねたと見える。


「コールオン。リリー」

『……お腹が空きましたお姉ちゃん』


 ――フレンド、リリーからコールを切断されました。


「…………」


 まぁ。何時もの妹様、平常運転である。

 それに、基本的に我が家の夕食は18時30という事を考えれば、明らかに非は僕にあるだろう。

 ただ、今日は作り置きのシチューなのだから、別に僕をわざわざ呼ばなくてもとは思うのだけど。

 という無粋なことは思っても口にしないのが、よい兄となるための秘訣だ。


「コールオン、ログアウト」


 ステータス画面からの操作が面倒で音声式でログアウトコールを行う。

 浮遊感のような感覚が身を包み、強力な睡魔があっさりと意識を奪い去っていく。

 さてはて、ご立腹であろう妹様をどう宥めすかしたものかと。

 そう僕は内心苦笑して意識を手放すのであった。




後書き


どうも、初めまして。

よくある物語です。

よくある展開です。

よくいる主人公です。

大量の注意事項をよく突破されました、あなたはよく訓練されたスコッパーです。

そんなみなさんにちょっとしたご褒美……は、ありませんが、まぁお茶でもどうぞ。


さて、簡単な補足。


VR=バーチャルリアリティ

スペルキャスター=まんま、呪文の使い手

判定=ゲームなどでは、一部の行動に成功判定なるものがあります。その成否は技能の習得度であったり、ステータスの高低であったり、運であったりします。

エンチャント=付与のこと。装備などにかける支援呪文とかを呼称すること多し。

キャップ=現在のレベル限界。

アバター=自身の作り上げた分身体。ゲーム世界の現身。

ネカマ=調べてみるといいよ。


それと、1話あたりの量は多くないと思う、多分。


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