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英雄気取りのエコーちゃん!!  作者: 増岡時麿
第1部 ライジング
27/67

過去編2ー①

「説明会?」



「そ」



 まだ昼休みにもならない時間に、シンシアが帰り支度を始めていたのを不思議に思ってエコーが聞いた。



「なんの?」



「わたしね、ダークネス能力者になったの」



 二年に上がったばかりの頃だ。なんの前触れもなくシンシアは能力者機構に呼び出された。

 自分とは年の違う数十人の子どもたちも集められていたようで、そこで行われた儀式には、能力者機構の長官や統治局の者と思われる者も何人かいた。

 ーーそれから不滅型《闇傀儡(デモンズクラウン)》のムキシツ。あまりにも恐ろしいその姿に子どもたちは皆、怯えていた。ワールドツリーに三体いると云われる不滅型《闇傀儡(デモンズクラウン)》はシンシアも初めて見掛ける。

 儀式はすぐに終わった。ただムキシツが指を示した子どもだけが残され、彼女に触れられた後(年上が泣きわめいて嫌がる様は見苦しかった)、能力者機構にダークネス能力者として任命され、説明会の日時を伝えられただけだ。

 説明会は始業式から三日後だが、夜中の午前二時からの予定なのだ。前日は早めに学校を抜けて備えなければならない。



 そうしてダークネス能力者として収集された子どもたちは、講堂で説明会を受けた。

 内容は口外無用で、初めにダークネス能力者は能力者機構に入らなければならない、能力を悪用してはいけない、それからもう聞き飽きたのだが、ヒーローサイドについての正しい理解。

 これらの旨を話された後は、ダークネス能力者の歴史やその犯罪事例などを事細かに教えられた。その時点で寝ている子どもは少なくない。……せっかく学校を休んだのに。どうせ彼らは構わず遊んでいたに違いない。と、シンシアは思った。

 以上が五時間ほど続いてようやくダークネス能力者の代名詞なるモノが渡される。



 ーー闇玩具。

 能力を使うための道具というよりは、能力を制限するためのモノだそうだ。

 これを媒介にして発動できるのは、主に《闇傀儡(デモンズクラウン)》や暴走した他のダークネス能力者を捕らえるための能力。

 下手にオリジナルの力を発現させる前にダークネス能力者を早期発見し、枷を付け、システムに組み込む。要はそういうことだ。

 そんなこんなで晴れてダークネス能力者になったシンシアは、自宅に帰りもう一度、闇玩具の入っていた箱から説明書を抜き出して読み返した。




純哀なる安っぽい原石(シルバーダイヤモンド)》 A級闇玩具



 周囲のあらゆるモノを凍らせる能力を持つ闇玩具。

 


 P.S 宝石みたいなのは飴なので舐めても構いません(ちなみにリンゴ味)。無くならないけど、すっごく硬いから噛まないでね。血糖値には気を付けてね。



 エンテルポルカの玩具店より




 シンシアは思った。純哀とはなんぞや? と、

 辞書にも載っていない言葉なので、おそらく当て字なのだろうか。それに安っぽいは一言余計じゃないのか。

 まさか他の子の闇玩具もこんなふざけた名前ではあるまい。大層な説明会をした割りに辺鄙な代物を渡されたものだ。

 それにずいぶんとざっくりとした説明書だ。色々と突っ込みたいところだが、それより気になるのは、ーーA級闇玩具だということだ。

 聞いた話によるとB級以上は殺傷能力がある危険なモノで、しかもこれは指輪型のアクセサリータイプ。シンシアに潜在するオーラがよほど強力だったのか、常時外さず身に付けるようにと指示された。

 不安になって兄に相談すると、「キミなら慎重に扱えると考えたんだろう。優秀だと認められた証だよ」と、半ば誤魔化されたように褒められた。

 相変わらず意図が読めない人たちだ。意地汚いと思ったが、好奇心を抑えきれず、シンシアおもむろに闇玩具の宝石部分をチロっと舐めてみた。



「甘っ!?」



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