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大事に、大事に。

作者: 中谷 伊沙樹

短いですので、ぜひ呼んでいってください。

 その腕時計、そろそろ買い替えたらどうかな。かなり汚れているし、針も止まっているよ。

これは私たちの記念日にあなたがくれた大切な物。まだまだ使いますよ。

 手伝うよ。この包丁、歪な形をしているね。どのくらい使っているの、

嫁入りのとき母に買っていただいたので、十年以上は使っていますね。

近々月給日なんだ。お金を渡すから、新しい包丁を買っておいで。

これは母から頂いた物ですし、まだまだよく切れます。壊れるまで使いますよ。

 とうとう月給日だ。何か欲しい物でもないのかい。

私は、強いて言えば時間が欲しい。あなたといたい気持ちを満たすのに、この人生はまだまだ短すぎますから。

それは月給日に息をしている僕でも買えないな。買えない代わりに、近くにおりますよ。

 あなた、私たちももう年寄り、一緒にいられる時間もそう長くはないかもしれないですね。

そうかい、僕はまだまだずっと、君の傍に居られる気がしてならないよ。

命が尽き、あなたと別れることが恐ろしくてなりません。

一緒に行こう、何処までも。僕となら怖くないね。

あなたと、まだまだ遠くへ。

これは、戦後の日本を描いた作品です。あえて直接書くことはしませんでしたが、主人公たちの口調や給料日と言わず月給日と言うところにも、戦後、もしくは昔のお話であると言うヒントを散りばめておきました。

結末ですが、これは愛し合っている若い夫婦が年老いて、離れるのが怖いことを理由に心中をするお話です。

この話で直接、若々しい女性や心中する。などとは書きませんでした。

若々しい女性であると言うのは、最初の時計を身につけているところがヒントになっています。時計はどちらかといえば若い女性がつける物だと思うからです。それでわからなかったとしても、後半で私たちももう年寄り、と言っていることからあ、前までの話は若い頃の話なんだな。とわかると言うわけです。

一緒に行こう、何処までも。は、心中をしよう。と言う意味になっています。これは年老いた先の少ない夫婦が、何処までもいくと言っているということは、死ぬことなんだ。と言うふうに繋がります。


あと、実はこれ夏休みの宿題です。テーマが「まだまだ」で、それに沿ったお話を書きましょうね。と言う課題です。結構上手くかけたんじゃないか、と思って親に見せたら、もっとこうしたほうがいいとか、浅くてありきたりな事を言われたのが悔しかったので、今回投稿してみた次第です。

説明が少なく、かなり難しい作品なのは承知しています。ですが、わかる人にはわかる作品,説明じゃなく、主人公たちの言動で理解する作品にこそ、「読む」ことの素晴らしさがあると僕は思います。

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